強制休暇一日目。




約束した時間に微妙なテンションでキャリーバックを持って敷地外出ゲートに向かえば。
そこには気合いバッチリなプルルと…


「わー、ちゃんの私服やっぱ格好いいわぁ♪」
「プル姐、アナタ元気ね…。あと、どうしたその二人」

そう、何故か一緒にガルルとタルルもいた。
しっかり荷物も持っている。


「看護長に誘ってもらったんスよ!今日は大佐がアウターだから護衛って。あと温泉っス♪」
「温泉らしいな?私もたまには疲れを癒したいものでな」
「隊長オヤジ臭いですよぉ?ちゃんの護衛は隊長の役目って事です」

でも…温泉じゃん?
何をどう危ない事が起こると言うのか。


「大佐の私服姿ってオイラ初めてっスよ!なんか
イケてる女!って感じス♪」
「タルル、外では階級名で呼ばないようにね?」
「まぁ、どうせ何も起こる事もなし。存分に楽をさせて貰いますよ?」
「私をダシに職権濫用して温泉をもぎ取ったのかガルル…」

微妙だった心がどんどんマイナスに落ちていく。
と言うか、ガルルがあれだけ早急に動いた事に疑問を持つべきだったのだ。
プルルに脅されただけではなく、
自己利益を見込んでいると言う事に気付かなければいけなかった。
もうここまでされると怒る気も失せる。

「タルちゃんは荷物持ち。隊長はちゃんの護衛兼荷物持ちって事で♪」
「まぁそうだろうな」
「力なら任せるッスよ!」


こうして一人が
『なんだかなー』状態に陥いったまま。
楽しそうな三人に口出しも出来ない。













アウターに出る際にはゲートを通る必要がある。
ここで審査を受けて、オールクリアと判断された者だけが通れるのだ。

審査内容は3つ。

1つ、護身用以外の銃や武器の携帯所持の禁止。
1つ、軍人と分からぬ服装。
1つ、階級章の所持。



軍服での私的外出は禁止だ。
当たり前だが民間人から見れば軍人は怖く、それに託つけて民間人に圧力を掛ける下っ端が出るからだ。
そして武器も携帯用で必ず服や鞄に隠れる物しか許されない。
階級章はバリアや身分証明の為に。だがやはり隠しておく。

面倒だが、どうしても『軍人』だと一般人との間に差が生まれてしまう。
軍としてのイメージにも関わるので、ケロン軍はそこを徹底している。アウターでは階級名で呼ぶ事も禁止される程だ。
飛行ユニット等の『軍関係』の物は全てが私的理由では使用禁止対象になっている。

とにかく【一般人】として外に出る事が義務付けられている。

ニセモノ軍人はゴロゴロいるが、本物は見つからない。
ケロン星ではそういうシステムが成り立っている。



「私不思議だったんだけどさぁ…ガルルの次元空間ってアウトじゃないの?」

審査ゲートを通りながらがガルルに問いかける。

「信頼の問題ですよ」
「って事は閉じて無いんだ。いいの?」

今度は審査官に問いかける。

「大佐の心配はご最もですが、我々では全ての次元空間の管理は出来ません。アウターに任務で出ている場合の方もおられます」
「ふーん。プル姐の注射器も?」

「ダメだったわぁ…。
あれは危険物扱いで審査通らず取り上げられたもの。ざぁんねん」

んなもん持って何しに行くのか。
そっちもかなり気になったが聞くのが怖かった。


「それでは全員クリアです。大佐のアウターは久々ですので楽しんできてください」
「ありがと。行って来るよ」



ゲートを潜ればには1ヶ月半振りの外だ。

「うわー、何か景色違うわぁ…」
「それじゃあみんなの荷物は隊長の次元空間へ

「まぁそういう使われ方しかされないからな。全員貸せ」


武器以外でも何でも入る次元空間に全員の荷物を入れて。


「さてと。温泉の前にショッピングからスタートよ!」
















こうしてガルルの車でケロン星繁華街に来た四人。
なんとかのテンションも上がってきた。


「ガルルの私服って初めて見たけど、やっぱカッチリ気味だね?ちょっと崩せば大人の色気が出るのに」
「出してどうする。俺もがそう言う服装を好むとは意外だ」
さん、さっきから滅茶苦茶ヤローに見られてるッスよ?」
「そりゃちゃんは軍にファンクラブあるのよ?このモデル張りのスタイルを外に出さないなんて勿体無い!」
「いや、一番はプル姐の格好でしょ。
気合いが怖いわ」


ガルルは背も高くまさにエリート。流石は【ケロン軍男性アンケート・抱きたい抱かれたい男NO.1!】を勝手に独走中だけはある。
はスラリとパンツスタイルでタイトにキメてまさにモデル。
タルルも少年のあどけなさと可愛さを兼ね備えている好青年。
プルルに至っては大人の色気と爆乳がよく分かる格好だ。


一人でも十分に目を引く容姿を持っているのに、
四人もいれば大変だ。




 

 

 













「つーかオイラ、さんのイメージ崩れたッス」

只今公園にて休憩中。
買った荷物は全てガルルの次元空間の中だ。
近くの露天で買ったアイスを食べながらタルルが呟く。

タルルはレアチーズ。

「何で?まさか悪い方向に?」
「いや。いつものイタズラん時と、式典の時の格好良い
キリ!っとしたのと。今日はまた全然違うから吃驚したッス」
「タルちゃん、女はいくつも顔を持ってるものよ?」

プルルはチョコミント。

「やっぱこういうのも写真に撮ったら軍のファンクラブに高値で売れるんスかねぇ?【貴重なオフの私服姿】って」
「あー、確かそれは撮られた覚えないわ。つか美人に撮ってよぉ?あと売れたら7:3で私ね?」
「え、その割合って無いスよ!それにさん超金持ちじゃないスか!」
「被写体のおかげでしょー?あとお金はいくらあっても困らないの。中々使う暇も無いし老後の貯蓄だ」

はマンゴー。


「その歳でもう老後を考えてるのかお前は…」
「私、優雅な老後を過ごしたいから今一生懸命働いてんだもん。はぁ、なんかこうやって『フツー』も楽しい…感動だ」
「感動なんかするものか?」

ガルルは甘いものが苦手なのを承知の上で
無理やりからクッキー&クリーム。
流石にアウターでも一応上司からなので辛そうに食べている。
外でも苛めは止まらない。


「え、だっていつもと違う皆ってなんか楽しくない?ガルルもタルルも良く似合うし」
「ちょっと私はぁ?」
「プル姐は何かイメージ通りだから。てかタルル」
「なんスか?」

ススッとが笑いながらタルルの後ろに隠れる。


「プル姐とガルル、並べるとカップルじゃね?」


瞬間、目の前の二人のオーラが
ドン!と上がる。
アイスもどこかに吹き飛んだ。


「それは『年齢的に』と言いたいのか『雰囲気』と言いたいのか『嫌がらせ』のどれだ?」
「言って良いことと悪い事があるわよぉ?」


「そんなに怒るないでよ二人ともー
ねータールルー♪」
「オイラに振らないで下さい!!」


鬼畜スナイパードS看護長の射抜くような視線を一身に受けるはめになったタルル。
もしここがアウターじゃなければ速攻で狙撃された後に注射器の餌食になっていただろう。
ガルルとプルルは微妙なパワーバランスがある事をは知っている。
そしてお互いを技術面では信頼しているが、
性格的には完全に合っていない事も。
いきなり怒り出した上司二人に加えて後ろの上司の盾にされ、タルルは既に涙目だ。


「ならちゃんとタルちゃんなんて明らかにショタじゃない!」
「はぇ!?オイラがさんとスか?!」
「おー?何だよタルル。私じゃ不服か?こんな美人に向かって」

今だ後ろから離れないから、さも面白そうな声が聞こえてタルルは逃げたくて仕方が無い。
 

「美人は自分で美人って言わないスよ!オイラには師匠がいるんで!!」
「うわ、瞬殺でフラれたし…しかも男に負けた…」

ガックリうなだれ離れるに、漸くガルルとプルル達も落ち着く。


「酷いよタルル。お姉さん傷付いたよ…そんな見えないナイフで乙女のか弱い心をえぐるなんて…」
「タルちゃん贅沢ぉ。ほらちゃん、私の胸でお泣きなさい?」
「酷いよっ…酷いよタルル!!確かにタママは可愛いけどっ…
わぁ〜んプルルお姉さまぁ!ホモにフられたぁ!!」
「ホモじゃねぇスよ!?こんな公園で何てこと言うんスか!!」

「タルル、を泣かせるとはな。減給モノだぞ?」

変な百合劇場に加えてガルルのアルカイックスマイル。
完全に大人達に遊ばれている。

「もぉー!何なんスかみんなして!今日は隊長じゃなくてオイラなんスか!?」
「うん、そだよ?」

ピタっと涙を止めてとプルルもニヤリと嫌な笑顔をタルルに向ける。
いつもはガルルに向けられるSな笑顔が自分に向いて、タルルはもう腰が抜けそうだ。


「ガルル格好良いから弄りにくいんだ。反応薄いし」
「その為に呼ばれた帰りたいっスよ!!つか帰って修行するス!!」
「タルル、俺が帰すと思うか?普段の俺の屈辱を味わえ!」
「嫌過ぎるッスよおぉおお!!!」

大人に勝てるものじゃないです。














さぁひとしきりタルル苛めで遊んだところで。

「さて、それじゃあ今から自由時間ね?チェックインは六時だからそれまでにみんな旅館に集合♪」
「了解。てかプル姐どうすんの?」
「私は引き続きお買い物。って事でタルちゃん?」

完全に心が壊れて崩れ落ちているタルルに
キラーン☆とプルルの目が光る。

「ぐえっ?!」

そして有無も言わせず首根っこを引っつかみ。

「あとはお二人でぇ〜


ずるすると哀れタルルは引き続きプルルの荷物持ちになってしまった。
彼の瞳にキラリと光る何かが見えた気がしたが、
気のせいにしようとガルルはスルーした。


「ふ〜む、プル姐の粋な計らいってヤツかな?」
「まぁ尊い犠牲だろうな。で、流すか?」
「勿論。ダラダラとショッピングはあまり性に合わない方でね」

ニコっと笑うが髪を括る。
同時にガルルが次元空間から2台のバイクを出す。
これは軍内で改造したものだが、アウターでも規制に引っかからない。

「ガルルも付き合ってくれるっしょ?」
「今回の温泉はお前の護衛も入ってるからな。一人にはさせられん」
「サンキュ。てかガルルのって馬力変えた?外装変えただけ?」
「前のを買い換えただけだ。お前こそ『限定解除』を持っている癖にやけ400に拘るな?」


限定解除とは全ての種類のバイクに試乗可能の免許だ。
そこいらの車より排気量がある大型バイクも乗れる。ちなみに原付は50ccだ。
一般的にハーレー等の1200ccクラスを乗りたいものが取る様な免許なのだが、はずっと400ccで止まっている。


「いやー、大型も楽しいけど
一回りしたらやっぱ400!調子に乗って限定解除まで取ったけど使い道無いわホント」
「そういうものか?」

バイクに跨り久し振りの感覚にの表情が明るくなる。
見た目などどうにでも改造できるので見ただけで排気量までは分からないが。
の愛車は重量やその他は完全に大型だ。良く持てるなと言いたくなるほど
重たい。
ガルルも限定解除を持っているし、排気量も900ccの物を使っている。

「400くらいが一番使いやすいってのがあるかな。てか軍の敷地内でもバイク乗れればいいのに…」
「ソーサーやユニットがあるだろう。煩くて苦情が出るぞ?」
「その飛行ユニットは外じゃ使えないし。面倒臭い…」

が一気にキックを入れてエンジンをかける。
このキックをかけて一発でエンジンが入る瞬間が好きだ。失敗してエンストするとかなり萎えるが。
大型になると流石に全力を出してもキックでは掛からないのでシェル式で簡単に掛かってしまう。それがは面白くない。

「そういうものだ。鬱憤晴らしに今日好きなだけ飛ばせ」
「ちゃんと付いて来なよぉ?
それじゃー行きますか!!」

走り屋二人は猛スピードで消えていった。









 

 




さてコチラはプルルとタルル。
二人から引き剥がした時とは打って変わって、
プルルは落ち着きタルルとのんびりお茶をしていた。

「さーて、今頃二人は楽しくデートかしら

「えっ、隊長とさんがスか?」
「まぁバイクで流してる程度だと思うけど。二人っきりに出来たしね♪」
「えー…まさか
あの二人にフラグ立ててんスか?流石に無くないスか?」

タルルの眉間に皺がよる。
あれだけからの
全く不必要で意味の無い強烈な苛めや悪戯を受けているガルル。
この二人にどうやって恋愛フラグを立てて見ていろと言うのだ。

「タルちゃんはまだ入って短いから知らない?あの二人、結構気が合うのよ」

ん〜、とアイスティーを飲みながらタルルが考える。

「確かにさんが本部所属で第8課に入る前までは、何度も隊長と合同作戦してたとは聞いてるスけど。それだけスよ?」
「じゃあ何で第8課なんてアウターにも出られないほど軍内缶詰で安全なちゃんに、隊長が護衛なんてしてると思う?」
「そーれは…上の決めた事なんでそこまでは…」

ニコリとプルルが笑う。

ちゃんが
【一番素直に感情をぶつけられる】のがウチの隊長だからよ」
「はぇ?」
「だって普通は女が部隊を率いてあれだけの功績を残したら嫌味ばかりよ?女に指揮を取られて気分のいい男なんて居ないわ」
「むぅ…オイラはさんだったら隊長でもそんな事思わないスけど…」
ちゃんは
地獄の日を生き残ったおかげで入隊して直ぐに階級は少佐。そんな新米に手駒にされてどう思う?」
「う〜…当時のさんを知らないからオイラには難しいッス!」

真剣に悩むタルルにプルルがクスっと笑う。

「じゃあ簡単に。トロちゃんがいきなり隊長になったら?」
「絶対嫌ッスよ!?」


即答で拒絶したタルル。
あのお子様が自分の隊長になった日には、ストレスで死んでしまう。


「そんな感じよ。だからちゃんも大変だったの。性格は良かったんだけど新米には変わらない。だから嫌がらせも酷かったわ」
「…大変、だったんスね…」
「で、功績や戦歴をちゃんと残すようになると周りも媚を売ってくる。鬱陶しいじゃない?」
「う〜ん、確かに。でもよくある事ッスから…」
「あれだけ強くて
『か弱いオンナノコ』呼ばわりよ?ちゃんも昔は今より血の気が多くて直ぐに本気で喧嘩してたし」
さんが?オイラ、滅茶苦茶クールなイメージっスけど…」
「入った頃は私の保健室の常連さんよぉ?」




  『あーあーもぉ!またこんな派手な怪我して!!階級が下でも相手は男なのよ!?』

  まだ若かった頃。
  はいつも部下から無理やり治療に連れてこられて不機嫌だった。


  『嫌味を言ってきたのは向こうだ。証拠も録音して周りも見ていたから軍法会議に挙げられようが私が勝つ』
  『そう言う意味じゃないでしょ!顔まで殴られてっ…女の子なのよ!?』


  軍服やシャツを脱がせれば、見えない場所にいくつもの痣。
  そして戦場での傷達。傷を消すように進めても彼女は治そうとしない。
  がいつも戦場でどのように戦っているかは誰もが知っている。


  『ふん、嫌味だけならまだしも強姦(まわ)されそうになればコッチも本気で殺しに行くさ』
  『ちょっとちゃっ…それ、本当?』
  『…、って証言すれば私が勝ってアッチは除隊でしょ?』

  ニッと笑う
  真偽の程はプルルには分からない。


  『私が【か弱いオンナノコ】だってさ。あの日の生き残りだからって特別扱い。誰も軍人としての私を見ようともしない』
  『ちゃん…』
  
『なら見せ付けるしかない。男の嫉妬に屈しないよ。階級なんか関係無しで実力を認めさせてやる』
 

 
 これがの軍人としての誇り。
 
 流石にこれ以上はプルルも口を挟めない。


  『……。でも、あまり喧嘩は上からの心象も悪くなるから…』
  『有無も言わせない程の力を付けるだけだ。私は生憎【か弱いオンナノコ】じゃないもんでね』
  『まるでケロン軍を乗っ取るみたいな言い方ね?』
 
  プルルの言葉にが笑う。

  
『実はそのつもりだったりぃ?いつも治療ありがとう』




「でもね?ウチの隊長は違ったの」
「何がどう、違ったんスか?」
「ストイックなのは二人とも一緒でしょ?ちゃんを女じゃなくて『軍人』として対等に接していたのは隊長くらいよ」
「へぇ…。…何か、プルルさん良く知ってるスねぇ」
「私も女だもの。衛生局だしちゃんほどじゃないけど少しは同じような目に合ってるわ」


何と言っていいか分からないタルルにプルルが微笑む。
抜きん出た新米は誰もが上から苛めや圧力を掛けられる。
それが『女』なら尚更そうなってしまうのだ。


「だからちゃん、隊長と一緒にいると安心するのよ。
あぁ見えても」

随分難易度の高い見方をしなければならない。

「でも、結構酷い悪戯ばっかッスよ?隊長いっつも怒鳴ってるし」
「逆にクールな軍人の鑑の隊長があれだけ素直に感情を爆発させて怒鳴ったり怒ったりする相手っている?」

「あー…言われてみれば確かに見たことないかも…」
「恋愛経験が少ないから子供みたいな接し方しか分からないのよ。多分本人も恋してるとか好きとかも分かってないんじゃないかしら」
「…つまり、さんは…
恋愛に不器用って事、スか?」
「そんな感じかしら?正直分かん無いのは隊長がちゃんをどう思ってるかなのよねぇ」

ガルルは誰に対しても(一部例外もいるが)礼儀正しくまさに軍人の鑑だ。
だからこそに対しても同じ軍人として接しているが、女性としてはどう見ているのか。
の悪戯とガルルの説教が混ざってそこらへんが全く分からない。

えーっと、うーんと。
プルルの言葉に一生懸命考えタルルが出した答えは。


「なんか…」
「ん?」
さんって、
可愛らしい人だったんスね」

素直に出てきた感想だろう。
その言葉にまたプルルが笑いそうになる。

「言ったでしょ?女はいくつも顔を持ってるものなの
ちゃんって凄く可愛いんだから








マッタリのんびり。
夕方6時に温泉宿に集合。

「ふはははっ!無様なりガルル!!いやー楽しかったぁ♪」
「クソッ…。次を覚えてろ!!絶対にお前に負けんぞ!!」
ちゃん…隊長…、その姿は一体…」

二人ともアチコチに絵の具でもぶち掛けられたのか、
とてもカラフルな状態になっている。
もガルルも髪から顔から服から靴の先まで。
ガルルの綺麗な紫の髪は、今や蛍光イエローとピンクでごちゃ混ぜだ。

「バイクで流した後さぁ、モトクロス行って来たの!んでペイント弾で交戦してたらガルルが超ガチでさぁ」
「モトクロスって何スか?」
「あ、タルル知らない?バイクで崖とか飛んで遊ぶやつ」
「飛行ユニット無しでそんな危ない事したんスか!?え、で!ペイント弾で!?」
「そりゃ普通に崖降りても面白くないじゃん?ガルルったら私の護衛の癖に超撃ってくるし!!途中からキれるし」
「お前相手に手を抜いたらもっと酷くなるからな。ったく着替えくらい用意くらいしろ!!」
「時間足りなかったんだからしょうがないじゃん。遅れたらプル姐怒るしぃ?」


ガーッ!!!と怒るガルルにいつも通りの悪戯顔の
だけど二人とも、軍内に居る時とは全く違う。

素直だ。


「二人ともそーんな目立つ格好で飛んできたの?」
「うん。目立った♪こっち来る時ガルル超赤面してんの!マジウケルし!!」
「恥ずかしくないほうがどうかしてるだろうが!早く温泉だ温泉!!」
「写メったから後であげる!ガルルファンに転送しまくろうよ!!」
「消去しろ!!」

カラフル具合はガルルの方が上なので、相当悔しいのだろう。
まだ笑っているをズルズルと引っ張りながらさっさとガルルは中に入っていった。

「ね?仲良しでしょ?」
「隊長があんなに楽しそうなのも初めて見たス…さんも…」
「いいコンビなのよ
さ、私たちも行きましょう?」


クスクス笑うプルルと呆然とするタルルが後から続いた。



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