とってもカラフルなガルルとが旅館の従業員を驚かせた後。
「お〜!すっげ、露天じゃん!!」
「でしょー?美肌効果もバッチリよん♪」
相当高額な旅館のようで、部屋も綺麗で温泉も露天が引かれていた。
入る前にしっかりペイントを落とし、早速二人が露天に入る。
「うぁ〜、気持ちいいー。誰も居ないよぉ…貸切じゃんかぁ…」
余程嬉しいのかがぽえぽえvしながら湯に浸かる。
「勿論貸切よ。ちゃん、一向に傷消さないんだから」
「あ、そう言う意味か。ありがとプル姐」
には白くてきめ細かい肌には似つかわしくない、大量の傷があちこちにある。
整形手術で消せと何度言ってもは消そうとしない。
【自分の作戦の向上と反省のため】と本人は言っているが。
本当は戦場で死なせてしまった部下のせめてもの手向けと言う事をプルルは知っている。
「顔に消えない傷作ったら、今度こそ無理やり全身の傷、全部消すわよ?」
「付けようにも、もう外に出られないんだ。まぁ転んで怪我する事くらいしか無いよ」
「ちゃんはいつ何処に行っちゃうか分かんないから言ってるんでしょ?気紛れなのは知ってます!」
「はぁ〜い。そんなに怒んないでって」
へへっvと笑うにプルルも溜息しか出ない。
いつまでもやんちゃな妹分だ。
「それにしても。プル姐ってどうやったらそんなに乳でかくなるわけ?重くない?」
「ちゃんと天然物よぉ?確かに肩凝るけど。別にちゃんだってちゃんとそこそこあるじゃない」
「うん。今Cだから別にこれ以上欲しいとは思わないけど…揉んでもいい?」
「ちょっ!ちゃんくすぐったいからぁv」
「おぉ、凄い重量。しかも柔らかいし。プル姐、これは貴重だよ絶対!」
「そんなに揉まないでってばぁ!や〜んvこっちもやり返すわよぉ!?」
「え、ちょっ!あはははっ!!やだやだ揉まないでぇvくすぐったぁい!キャーエッチぃv」
ここは露天。
当然仕切り一つで隣は男風呂だ。
二人の会話にタルルは覗き穴を探し、ガルルは眉間に皺を寄せながら溜息を付いていた。
「タルル…あいつ等の作戦だ。乗るな」
「いやでも隊長!露天風呂で覗きは定番スよ!?」
『ガールルゥ!!プル姐のおっぱい超気持ちいーvv』
大声で遠慮なく叫んだにブチっ!と何かが切れたガルル。
「お前は俺にそれを伝えて何をしたいんだ!?女としてもっと慎みを持て!!」
『なんだよー。どうせそっち二人とも半勃ちだろー?こぉんの妄想族めがぁw』
「勃つか!!プルル!を黙らせろ!!」
『マジで?どーせ前かがみの癖に。タルルはどうよ?プル姐、マジでそこいらのAVなんて目じゃないよ?』
「ちょっ!何言ってんスか!?オイラはそんなっ!!」
『タルちゃーん?ちなみにお姉さんたちのおっぱい、覗いた瞬間に何が待ち受けてるか考えて行動しなさいよぉv』
死
瞬間的に頭にその言葉が過ぎったタルルは、大人しく覗き穴を探すのを止めた。
ちなみにもし覗いていたら二人からメジャーリーガーもビックリな豪速球で風呂桶が飛んで来て再起不能だ。
こうして散々遊んで飲み散らかし。
その後はガルルとが卓球で『負けたら浴衣でエロ写真撮影大会』と白熱バトルを勝手に開催。
「絶対ガルルを脱がせる!!牛乳ぶっ掛けて屈辱と陵辱にまみれたガルルを手に入れてみせるよ!!新たな揺すりネタだ!」
「その気合が何処から来てるか知らんが、お前に負ければ死にたくなるのは良く分かった!!」
卓球のラケットをお互いにビシっ!と向けて信じられない程の気合とオーラを纏わせる二人。
それをマッサージチェアでの〜んびり見守るプルル。
任務でもガルルからこれほどの殺気を感じた事無いタルルは何がなにやら。
「ちなみに先に聞くが。お前が負ければプルルも巻き添えでいいんだな?」
「え!私も巻き込まれてるの!?」
「ふん、勿論。そっちもタルルも陵辱の海に溺れさせてやろうじゃないか!!」
「オイラもッスか!?絶対嫌スよさんどんな趣味スかそれ!?隊長頑張って下さい!!」
「あぁ。ただし俺が勝った場合はは一ヶ月間軍服で任務に当たりプルルは注射打ちの無駄打ち禁止だっ!!」
「えー…オイラ、二人のエロ写真欲しいスよ…」
「真面目で面白くない上に絶対嫌だから!!ならばこっちは二人に絡まってもらおうかぁ?布団に半裸で牛乳でチューだ!!」
「隊長おおぉぉおおおおお!!??」
「任せろタルル!俺もお断りだっ!!!」
こうして両者ガンバレー!!と巻き込まれた二人が必死に応援していたら。
いつの間にか他にも泊まっている宿泊客もギャラリーとなり大盛況の中。
「チッ、ドローか…」
「くそっ!命拾いしたなガルルっ…」
あまりの気合とオーラのせいでピンポン玉が途中で割れてしまい、ラケットもグリップ部分がほぼ原型が無いほど握りつぶされている。
とても試合続行不可能状態となり、得点を見れば同点。
「た、助かったス…隊長おぉ…」
「あー良かった。注射止められたらストレス溜まっちゃうもの」
ぜーぜーと息も絶え絶えな二人に、どれほど白熱していたかは想像に難くない。
「さて、それじゃあお休みなさぁい♪」
「ガルルぅ、タルルと二人切りだからって手ぇ出すなよー?」
「出さんわ!…おいタルル、お前も怯えるな!!頼むから俺を信用しろ!!」
卓球での汗をもう一度風呂で流し、お互い男女別の部屋で就寝となった。
「プル姐…今日はありがとね」
本当に楽しかった、と眠るプルルに笑いかけ。
完全に眠ったことを確認し、が旅館の出口に向かう。
そこには一人の人影が立っていた。
「こんな真夜中にどちらへ?」
「はぁ…お前は私のストーカーか?」
「護衛官です。殺気が漏れていますよ大佐」
出口にいたのは軍服姿のガルルだ。
「あんだけ体力削ったのに…」
「『ちょうどアウターに出られ、タイミング良く連絡が来た』という所ですか?」
「そんな感じ。タルルも寝てる?」
ヤレヤレと溜め息を付きながらも階級章を押し、浴衣から一瞬で夜間専用の軍服姿になる。
通常はベージュだが夜間仕様は色が焦げ茶色だ。
衣服に関しては階級によって数は限られるが、ある程度データを入れておけば押せば変えられる。
「アウターでの私的理由での軍服着用と武器は禁じられていますが」
「先に着てたお前に言われたかねーわい」
「私の任務は大佐の護衛ですので破っていません」
屁理屈を捏ねやがって…と、またが溜息をつく。
そして呆れ終わったのか、の瞳が鋭くなる。
「付いてくるなら丁度いい。飛行ユニットを貸して。あと…」
「あと?」
「これから起こる一切は口外法度だ。知れば『口外の可能性アリ』と監視が付く事になるぞ」
が普段から全く着ない軍服を来ている時点で、いつもの【諜略部隊】の仕事では無いのだろう。
だが、それならわざわざ軍内警察部隊の隊長がアウターで何をすると言うのだ。
「私はまだ、大佐の中で信頼に値しませんか?」
次元空間からユニットを2つ取り出す。
付いて行く意思表示だ。
「…値するよ。だけどこれは本当に…」
知られたくない。
そう言いながらユニットを受け取り、は静かに飛び出した。
「…ガルル…」
『はい』
「プル姐に…謝らないとね」
『バレる前に帰れば良いだけの話です』
「……うん…」
が降り立った場所は高級クラブの立ち並ぶ繁華街の裏路地だ。
夜も深いのにネオンが眩しく輝いて、毒々しい雰囲気を与える。
「ここは…?」
「今日の仕事場。…処刑対象者がいる場所だよ」
処刑?
「お待ち下さい。大佐にそこまでの権限は与えられていません。そもそもアウターで軍人同士の抗争は…」
「邪魔するなら帰れ」
無表情に私服に戻り、街に出ていく。
ガルルはそれに付いて行くしかなかった。
「この先に軍人専門の高級クラブがある。佐官以上しか入れない会員制のだ」
底冷えするような冷たい声でが続ける。
「ある中佐をマークしていたが警備が厳しい上に階級章が無ければ入れん。部下には店員として潜り込ませてたが…。さっき上から処刑許可が降りた。諜略部隊と同じで『コッチ』も実行の権限が私にしか無い」
付いてくるガルルを一切見る事無くが淡々と話す。
途切れ途切れだが、ガルルにも意味は分かってきた。
「つまり正面からは『大佐の階級章』のある貴女しか入れず、今から行う『行為』も大佐にしか権限が無いという事ですか」
「あぁ。正式なアウターでの執行官としては私しかいない。上級将官と部下も一部しか知らない事だ」
ただでさえの【諜略部隊】も噂程度しか認知度が無い上に。
上級将官しか知らないなど、各本部のトップしか知らない事になる。
に与えられたもう1つの顔。
「ねぇ、ガルル」
「はっ」
「昼間にさ、プル姐が『女にはいくつも顔がある』っつってたじゃん?」
「えぇ。言っていましたが」
「でも私…『この顔』が一番醜くて嫌いだ」
特別死刑執行官
それがの持つ誰にも見せない顔。
「きっとガルルも私を嫌いになるよ」
それだけ言うとはビルに入り軍服に着替えた。
「…マスクくらい、しないのですか?」
店は直接エレベーターから繋がっているらしい。
「ガルルはした方がいいね。本来の店員や店側にはもう部下達から連絡がついてるけど…たまに興味本意でいるから」
「ですか大佐の顔が…」
「死ぬ瞬間くらい美人を見せてやりたいじゃん?」
冗談なのか本音なのか。
エレベーターが止まり、扉が開けば確かに高級クラブと言える。
「いらっしゃいませ。階級章をお願いします」
入り口の青年がスッと認証システムを差し出す。
大佐のはともかく、中尉の自分は止められてしまう。
「ガルル、こいつは部下の一人だから心配いらない。お前も入れる」
「ご苦労様ですガルル中尉。課長よりお話は伺っておりますのでこのまま中へ。ご案内します」
青年は優しくニコリと笑うとそのまま中へ歩き出した。
「部外者は」
「処刑対象者が連れてきた常連の者が3名。部下と思われます」
「店側は?」
「元より万全」
「上出来だ」
会話はそれだけだ。ニッとが笑いながら腕章を付ける。
今まで見た事の無い腕章だ。
漆黒の闇の中に血色で【特刑】の二文字。
ガルルには何故が楽しそうなのかが分からない。
【一番嫌いな顔】だと言っていたのに。
1つの扉の前で青年が止まった。VIPルームだろう。
「ガルル、立ち会う?」
「あぁ。でしたら顔を隠して頂かないと。部下達は対象には入っておりませんので顔を見られては困ります」
「今回は同席者も纏めて処分する。記録しておけ」
「畏まりました。では少々失礼致します」
青年はその場で消えた。
やはりアサシンなのだろう。
「…アサシンの中でも【X−1】出身だからね。わざわざ処刑専門に回りたがるようなイカれたのもいるんだよ」
「彼は何処に?」
「もうすぐ中に来る。もう1人は今中にいるだろう」
が銃を取り出す。
「…殺るか」
事は手際よく終わった。
中に居た四人の男は突然入ってきた顔も知らない軍服姿のに動揺しながらも。
『何かの余興か?』などとふざけて笑っている。
ニッコリ笑うが何をするかに気付きもせず、『こっちへ来い!』などとゲラゲラ笑い。
その通りは真正面から近付きドカっ!と椅子に座る中佐の横を思い切り踏みつけ、逃げ場を無くし眉間に銃を当てる。
腕章にも階級章にも気付いていないようだ。
「お、おいっ!?何なんだ!!」
動揺の広がる中、接客をしていたであろう女性一人は瞬時に軍服姿になり。
先ほどの青年もやはり軍服姿で現れた。
腕章にはと同じ【特刑】の赤い文字。
「対象者の確認、及びその他を逃がすな」
「はい課長」
青年が逃げようとしている3人に瞬時にワイヤーで縛りつけた。
動けば食い込むようで、完全に動けなくなっている。
「処刑対象者・ヤガガ中佐に間違いは」
「階級章及び網膜識別により本人と確認完了しておりますわ課長」
「宜しい」
女性が抑揚無くに報告する。
記録係なのだろう。
「ヤガガ中佐。長期に渡る任務放棄、届出の無い軍への勤務・出勤拒否、私的理由でのアウターでの軍服着用、軍内より不正金の着服。その他多くの軍法・軍務規定違反により元時刻を持って死刑執行を執り行う」
「マルサンフタヨン。刑の開始を確認しました」
「なっ何を言っているんだ!?お前たちは誰だ!!軍の人間なのか!?」
「なおこの処刑は軍上層部により決定した事である。呼び付けても軍の敷居を跨ぐ度胸が無いらしいな?アウターにいれば軍も手を出せず安全に金を流して貰い続ければ良い等と甘い考えが通用するとお思いか?」
ごりっと、の銃が中佐の額に押し付けられる。
「おっ、お前は誰だ!自分こそ軍務規定違犯だろうが!!」
「任務に当たりアウターでの軍服着用と武器は認められている。最近金の入りが悪かっただろう?貴殿の仲間はとっくに軍法裁判に掛けられているがまさかそれも知らぬ存ぜぬと?」
その時、中佐が漸くガルルの存在に気付いた。
「っ、お、お前はガルル中尉!!私を助けろ!!このイカれた女をさっさと撃ち殺せ!!」
「以上だ。なお今回は同席者も対象者の罪状を承知の上と判断し、同罪として刑を執行させていただく」
その言葉にワイヤーに掛けられていた三人がようやく我に返ったのが。
急いで逃げようと動くが、やはり余計に食い込み苦しみが増すだけだった。ワイヤー部分から血が流れている。
ニコリと青年が笑い、優しい声でに話しかける。
「課長、勝手にコチラが首絞めて死にそうですがどうしましょうか?」
「お前に『処刑』の権限は与えていないだろう?」
もがき苦しむ3人の頭をの銃が撃ち抜いた。
一発で苦しまないように殺したのは、この行為に慣れている証拠だ。
そして青年は当たり前のように今度は中佐を拘束している。
「ボクにも正式な権限があればいいのになぁ」
「阿呆。お前に『正式』に与えたら真っ先に私が殺す事になる。仕事を増やすな」
「それもそうですねぇ。課長強いし、ボクはまだ死にたくないし」
「ったく…。さて」
呆れたように青年との会話を切り上げ。
再びの銃が中佐に向けられる。
「なっ、お、お前!軍人がアウターでこんな事していいとっ!?」
「これも仕事だ。貴様のような腐ったヤツらを一々消すこっちの面倒も考えろ」
「ガルル中尉!!助けろ!!コレはどう考えてもっ!何故動かない!!??」
必死に逃げようとガルルに呼びかけるが、ガルルは動かない。
事の流れを見ているだけだ。
そして。
「バーカ」
呆れたようにが吐き捨てた。
ドン!
「処刑対象者及び同席者の死亡を確認。マルサンサンニ。現時刻を持ちまして死刑執行終了を確認いたします。お疲れ様でした課長」
「両者早急に撤収に回り全ての証拠隠滅を」
『了解』
脳症と血とレーザーの焼け焦げる臭いが混ざる部屋で。
「ガルル終わり。帰るよ」
ただ静かに見ていたガルルだが。
が呆れながらもこの行為を楽しんでいるのが心底分かった。
「げっ、返り血飛んでるし…。あんのワイヤー馬鹿がっ」
旅館に戻る間、はいつも通りだった。普段のデスクと全く変わらない。
ただ、ガルルは一言も発しない。
その様子にが溜息を付く。
「……。ったく、怖かったならそう言えよなー。可愛く無いなガルルは」
『別に恐くはありません』
「現場じゃねーし。【私に】だよ」
『…………』
再びのガルルの無言にが諦めたように話し始めた。
「これが裏の裏。一番知られちゃいけない私の仕事。軍内警察だし『ついでに』ってね」
『ついでなどと…これこそアサシンの仕事では無いのですか?』
「違う。確かにアサシンは暗殺部隊だけど【外敵に対して】と位置付けられている」
『しかし…』
「確かに軍内にはちゃーんと死刑執行官がいる。けど捕まえきれない時があるでしょ?違反者だって軍人だ」
『…………』
「外に漏れたら軍の威厳に関わる。だけど外に逃げられたら軍からは手が出せない。アウターの警察に任せる事も恥」
『だから…大佐が、と?』
「そう。アサシンを部下に持って内部と外部に詳しい私は適任なんだとさ」
『ですがこれはたった一人でこなすには相当の労力が…』
「ガルル、あの二人の目ぇ見た?あいつ等に権限与えたら軍崩壊決定。チップ埋め込まなきゃならん二人だ」
『爆破チップですが』
「その位しないとこの仕事はさせられん。X-1出身者は飼い慣らすのが難しいんだ」
旅館に戻りユニットを外し、元の浴衣姿に戻った。
「はぁ、…ちょっと歩こうか?」
「あぁ…」
近くにある川辺利をタバコを燻らせながらのんびり歩く。
ガルルにとっては本当に知らない事だらけだし、未だに信じられない。
だが誰かに問いただすことも許されない内容だ。
その瞬間、言った自分も聞いた相手も処刑対象者になる。
「知らなきゃ良かったっしょ?面倒臭い裏の裏なんて。軍も所詮、体面が大事なんだよ」
「だが、そんなに…頻繁にやっている訳では無いだろう?」
「頻繁に起きたら私が過労死するよ。私が出る場合は本当に上層部が困った時だけ。流石にそこまで軍の警備は甘くない」
「そうか…」
が新しいタバコに火をつける。
「聞きたいのはソッチじゃないんでしょ?私の前で嘘が通じ無いのがまだ分かんない?」
軍内警察長を務めるの前では、全ての嘘は通用しない。
「…お前は…」
「ん〜?」
「『醜くて嫌いな一面』だと言っていたが…俺には随分楽しんでいたように見えたぞ」
「あぁ、うん。だから嫌いなんだ」
「どういう意味だ?」
グーッとが身体を伸ばす。
「処刑はストレス発散の一部。戦場に出してもらえなくなってからの『唯一認可された殺し』だから」
の性格はアクティブで好戦的だ。血の気も多い。
デスクに無理やり付かされてからもそつなくこなすので忘れがちだが。
彼女もやはり【軍人】なのだ。
「でもさー。戦場でならともかく星で同胞殺しを楽しむなんてイカれてんじゃん?だから嫌い。自分が歪んでるのがよく分かる」
「…そうだったのか」
「しんみりすんなよ寂しくなるから!あーあ、私もガルルみたいに歳食ったら落ち着くかなぁ?」
「まだ年寄り扱いされる歳では無い」
「なぁに言ってんのオッサンが。さて、戻ろうか」
「あぁ」
ジャリっと砂を踏みしめながら。
「…ガルルは…」
「ん?」
「私がどんな事してても扱いが変わらないから、好きだよ」
【か弱いオンナノコ】と馬鹿にされていた時も。
【諜略部隊長】としての本来の仕事を教えた時も。
そして今。
【特別死刑執行官】としての任務を見せても。
「お前はお前だ。こんなじゃじゃ馬に好んで付き合う俺もイカれてるんだろう」
その言葉にがニッと笑う。
「ガルル、そういうのって世間で何て言うか知ってる?」
「ん?」
「『マニア』って言うんだよ!あらやだガルルったらぁv」
「!!」
笑いながら走っていくを追いかけていればもう朝も近い。
そして翌日。
「ちょっとー…ちゃん、無様過ぎる…」
「さん大丈夫スか?」
「デスクの引き篭もりがいきなりあれだけ動けば当然だろう」
「うっさい!!あ痛っ!!」
見事には筋肉痛に襲われていた。
朝食が済んでも温泉にもいけず布団の中だ。
「まぁ…今日も休みだからゆっくり休んでね?マッサージしてあげるから」
「まだ二日後に来ないだけマシだもんね!絶対ガルルもプル姐も明日来るし!!」
「あら、じゃあ来なかったらちゃんに何を奢ってもらおうかしら?」
「俺も来るとは思わんからな。さて、来なければ何をさせようか」
「キぃイイー!!悔しい!こんの煩いアラサー組めぇ!!」
普段絶対に負けはしない姿を見られて屈辱なのだろう。
がギャーギャー煩い。
「はいはい、男はちょっと出てって?マッサージするから」
「分かったッス」
「うむ」
「カメラ構えんなガルル!!」
漸く男二人が出て行ったところで。
「ねぇちゃん?」
「なーにーよー…」
「隊長と朝帰りってどういう事かしらぁv」
昨晩は処刑に出ていた。
一瞬何のことを言われているのか分からなかったが。
分かった瞬間、一気にが赤くなる。
「夜空を見ながらデートvって言って欲しかった!?もうヤダ!!プル姐嫌い!!」
「あらあら?『お姉さん今回は本気』って言ったでしょう?動けない事をいい事に問い詰めるわよぉ?」
「もー煩い!!変なフラグ立てんな!!」
「オッホッホvさぁてとぉ、痛ったぁいマッサージ拷問の始まりよぉ!!」
「いぃいいいやぁぁあああああ!!!!」
楽しいプルルの高笑いが旅館に響く。
次の日の軍では。
出て行くより疲れているに加えて、見事に筋肉痛に襲われているガルルとプルルがいたとか。
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一部管理人の欲望も混ざりましたが(写真ね。欲しいよ←)
さんに新たな一面が出つつ(可愛い人なんですよ!)、全く休みにならない休暇でした(笑)