天才  鬼才

そんな肩書きはゴミより価値がない。


使えるモノをヴァージョンアップさせる事は実に有意義。

その使えるモノが【自分】なら大いに結構。


ただ、電池の切れた人形のように突然止まる無様な死に方だけが後生の憂いだ。





Despair Worrying Producer〜 U





「キララ大佐、見えますかな?」


手術を終えて椅子に座るキララの前には、ペンライトを持った老技師が1人。
義眼専門の上級技師であり、ジグソウチームでは技師チームの主任をしている。

「大体見える…ふぁ…」

「ほ〜れ、眼をちゃんと開けなされ」

「すまん…かなりしっかり寝てしまった…。直ぐに起きるからちょっと待ってくれ」

 

連日の大量の仕事の上に、さっきは手術。

オペチームを刺激しないように大人しくしていたら、流石に仕事用に張っていた気持ちもプツンと切れてしまい。

手術の間、キララは思う存分爆睡してしまった。

今も部分麻酔が大分抜けてきたが、欠伸と涙がとにかく止まらない。思っていた以上に自分が疲れていたのだと実感させられる。

最近はずっと【ジグソウ】を使い無理やり脳にアドレナリンを大量に出させていたので、気が抜けると一気に疲れと眠気に襲われてしまう。

 

「オペチームから聞きましたが、また相当無茶をしておるようですのぉ。あんまり【ジグソウ】に頼りませんと、しっかり自分のリズムで1日寝なければ身体が壊れますぞ?」

「そうしたいしゆっくり寝たいが、上は私を仕事で忙殺したいらしい…。ん…よし、大丈夫だ。診てくれ」

 

静かに響いていた電子音が収まっていく。

先ほどまでのボンヤリした顔とは違い、キチンと眼が開き覚醒状態になっている。

これが【ジグソウ】だ。

 

「涙で化粧が崩れとりますから後で直しなされ。それで、見え方はどうですかな?」

 

こうして漸くキララの術後診断が始まった。

老技師のペンライトの光に合わせて瞳を動かす。当たり前だが眩しい。


「ちゃんと眩しいからもう止めて欲しいくらいだ。しかし…いつもより随分オペに時間が掛かったな?」
「先日ようやっと新しく開発した義眼です。そりゃあ新しい上に大佐専用ですから新しい神経接続に時間も掛かりますて。ふむ、瞳孔の動きも良いですな。毛細血管まで綺麗に良〜っく出来とりますわぃ」

キララはまだ術後の自分の状態を見ていない。

何だか嫌なことを聞いた。

 

「……。疑問だが、義眼にそんなリアリティが必要か?」
「そりゃあ勿論。人工物であるからこそ本物に近づける事が技師の役目。今みたいに眼を擦っておればどんどん充血しますし、【ジグソウ】の判断でかなり感情も出るようになっとります。今、思いっきり不機嫌なのもよーく分かりますぞ?」

「嫌な顔もしているから良く分かるだろうな。全く…そんな機能はいらん。皆に心配されるだろうが」

「無茶をなさるから心配される為に付けたのです。あ、そうじゃ。大佐が以前より付けて欲しいと言うておられた『いつでも瞳がウルウル効果★』とやらも、若い者に聞いて今回はバッチリと」

「あぁ!やっと出来たのか!?」

「嬉しそうですなぁ大佐…」

「当たり前だろう!?待ちわびていたんだ!!」

 

本当に嬉しそうなキララに老技師が少し困った顔をする。

 

「まぁ注文でしたし付けはしましたがのぉ…」

「何かあったのか?」

「全く酷い目に合いましたわい。『ウルウル効果★』と言われてもジジィにはようピンと来ませんでのぉ…。試作を作る度に小娘達からは「そうじゃない!」だの「潤い量は感情によって微調節!」だのあーでも無いこーでも無いと矢鱈と喧しい。あまつに「大佐の美しさが上がるんですよ!?」と男どもまで騒ぎ出す始末で二度とゴメンですぞ…。作れん癖に口ばーっかり出しよってからに…」

「ハハッ、何だそう言う事か。まぁ作れんから口しか出せないんだ。未来の大事な義眼技師達だ。許してやれ」

「まぁわしも出来上がって大佐に文句を付けられとう無いし、意見としてしっかり聞いておかねばと別に怒りも何もせんでしたが…。ピーチクパーチク騒ぐならちょっとでも腕を上げてもらいたいもんですわぃ。そんなもん【ジグソウ】でどうにでもなる事にも気付かん。じゃがそう言うたら「【ジグソウ】とはまた違うんです!義眼独自の機能として作らなければならないんです!!」とか訳の分からん主張が飛び出して…。本当に義眼技師の主任として自信を無くしそうになりましたぞ…」

 

困り果てて溜息を付く老技師にキララがケラケラ笑う。

いくら技師の頂点で有る主任を務めていても、やはり男には分からないものなのだろう。

それにこの老技師は基本的に怒らない。好々爺なので他の技師達からも好かれているが、若い技師達からは確かな腕を持つ『優しいお爺ちゃん扱い』だ。

 

「まぁ女が求める独特のモノだ。男は良く分からんが、今回の事は良い勉強になったんじゃないか?奥方にも聞いてみたらどうだ?」

「家内にまでこんな事は勘弁願いたいですな。全く、勉強どころか未だに意味がよう分かりません。もう引退して新しく女性主任も立てようかと本気で思いましたぞ」

「所謂ジェネレーションギャップだ。世代交代はまだ早い。若い者達の勉強不足もあるが、それにしても酷い目に合ったな?眼に浮かぶぞ」


笑いながら今回の義眼内蔵データを貰うも、コンタクトが無い分データ処理が遅いのがもどかしい。
見えるし読めるが、やはり『何かが違う』のは自分が一番良く分かる。
何より覚醒状態にした筈なのに欠伸がまだ止まらない。【ジグソウ】で何とか脳を起こしているが、プラグも接続して無いので限度が有る。とにかく眠くて仕方が無い。

「さて。もう二度とこんな理解不能な機能追加は止めて頂きたいのと、大佐にも女性らしいところがまだある事が分かったところで」

「相変わらず真っ直ぐに失礼だな…」

 

デスクに肘を突いてムスっとしながらキララが老技師を見る。

2人はキララが軍に入隊してからずっと長い付き合いだ。

 

「いくらわしの前だからとて、口も隠さず盛大に欠伸をされてはのぉ…。口がでかいのはよう分かりましたからせめて手で隠しなされ」

「煩い。文句は仕事で殺そうとして来る上に言え」

「全く、こんな大欠伸を一般兵が見たら失望されますぞ?では本題に入りますが。『今回も』大佐御自身が悪いのですぞ?いきなり引っこ抜いてどうなされた?」

パチンとペンライトを消してカルテのモニターを出し老技師が尋ねる。

「特筆して言う事は無い」

キララが無感情にさっさと即答する。義眼爆破の時は必ずこの質問をされる事を分かっているからだ。

言葉の抑揚は無いにしても、表情は分かりやすく先ほどの倍は不機嫌なキララに老技師も苦笑するしかない。
少佐時代から無茶苦茶な事を良くするのは知っているし、性格が我が儘なのも承知の上だ。
窓の外の見えない何かを数えながら、顔には『聞かないでくれ』としっかり書いてある。

「ほれほれ、衛生局の方にもカルテに処置理由が必要なのは分かっておられるでしょう?」
「いきなり爆発した。嘘じゃない」
「その言い訳は今回で十の位の数字が変わりますなぁ」

その言葉に肘を付いて外の何を数えていたのか分からないキララが、チラッと老技師の方を見る。

もの凄く苛付いているし高圧的な視線だが、若干の迷いがあるのが老技師には分かる。それだけ義眼は本物と遜色の無い出来なのだ。
その出来の良さに表情が綻びそうだが、そうすると比例してキララの表情と怒りメーターのチャージが大変なことになるので心で留めておく。


「流石にもう通らんか…」
「大佐の事ですから通す事は勿論可能でしょうが、こちらも義眼技師としてのプライドがありますからのぉ。本音は【通したくない】ですな」

好好爺な老技師は何が原因で爆発したかは勿論ちゃんと分かっている。
だが怒らずあくまでキララ自身に言わせるつもりだ。笑顔のままのその態度にキララが更に拗ねる。

「爆発したのは本当だ!」
「誰も『嘘を付いておられる』とは言うておりませんでしょう。ラインカットもせず抜き取ったのですから相当急ぎで抜いたのは分かります。逆に毎回よう抜き取りますわぃ。いつも目頭目尻が切れてしまうし、骨も危ないと言うのに。引っこ抜く度胸はともかく……オペ側とて毎回嫌んなるでしょうて」
「それは治るからいい!それより本当なんだから通せ!!桁が変わるくらいが何だ!?」

ガーッ!!と噛み付くキララに、あくまで老技師は好々爺なままだ。


  「【大佐専用の特別製】をそう易々と年に何回も壊したり爆発されては、こちらもなかなかしんどいのですぞ?」


キララとクルルの義眼は【ジグソウ】と接続させる為、他の一般兵達とは全く作りも手間も、そして何よりオペがとんでもなく神経を磨り減らす。
金銭云々も相当なものになるし、オペ側は眩暈がするような大量の神経達を1つたりとも間違えて接続したり切ったりしないように大変なのだ。
だが、それをキララはシャボン玉の様に平気で壊すので処置側は毎回堪ったものでは無い。
オペは【ジグソウチーム】と呼ばれる上級軍医に上級技師が複数立ち会うという本当に一大事だと言うのに。

「ふん、そんな事知るか。壊れたら直すのがソッチの仕事だ」

目下、処置される側のキララはこの態度だ。
勝手にアチコチ爆発や壊しては必死の思いで直しても、大抵キララはこの態度だ。壊した事を謝りもしない。

当然だがこの態度にオペチームが頭に来ない筈が無い。だが磨り減らし過ぎた神経では怒る体力も残っていない。とにかく寝たい。

その状態で最後に【キララの問診】という地獄のような時間とカルテと言う一番やりたくない事が残っている。

これは本当にシャレにならない。キララを直す代わりにコッチが死んでしまう。

カルテには次回の為にもしっかり事実を書かなければならないのに、キララはさっさと帰りたいので適当にそれっぽい事を言って逃げようとする。

 


「はて?わしの知っとる【キララ大佐】は、このような長時間老体に鞭打つような事をされる酷いお方だったかのぉ?」
「そうだぞ?もう呆けたなら主任を降りることを進めるが。第一、オペの度に軍医も技師も腕が上がる。集中力も上がるしな。【ジグソウ】自体のヴァージョンアップ用にデータも取れる。クルルが地球に行っているから検体は私しか居ないんだから頑張れ」

 

キララの言う事は。

確かにそうなのだけれども。


「……。もし呆けた頭で作った義眼を埋められたと考えたら怖くないのですか?」

「別に?私が壊れて困るのはお前たちだし、私はオペの間は寝ているから怖がりようが無いだろう」

 

これが【問診】だ。とてもやっていられない。まだカルテに一文字も書けていない。

そこで技師なのでそこまで体力は減らず、尚且つ1番キララと渡り合えるであろうこの老技師が最後の仕上げ役に選ばれた。


「ふぅ…。全く、あー言えばこー言いますのぉ…。ジジィとおっても楽しくなかろうに。折角立っておった茶柱も沈んでしもうた」
「茶柱なんか余計に知るか!私は悪くない!!」

一言大きく怒鳴ると、今度はツーン!と黙秘に切り替わったキララ。

仕上げ役が老技師になった結果、キララはちゃんと言うまで逃げられなくなった。粘り強さは年の功か、とにかく強い。どれだけキララが挑発しようが通用しない。

もうこうなるとただの忍耐強さの勝負になってくる。キララも相当強いが中々やはり、付き合いの長さも今まで直してもらっている経過もあり逆らい難い。

だが負けず嫌いなので、ここぞとばかりに意地を張って素直にならない。

その様子に老技師もやれやれと緑茶を啜る。

「大佐、回数を考えてくだされ。確かに仰る事はまことその通りですが、破壊するのは義眼や義耳ばかりでデータもかなり偏っておるのが現状。そして片方だけ爆破されても入れ替えるのは結局両眼。オペのシミュレーションシステムも組み上がっておるし、医師たちは練習、わし等技師一同ももっと開発に時間を費やしたいのです」
「…………」
「少しでも大佐を思っての事ですぞ?もっと良いパーツの開発をと思っていても、破壊スパンが短い分だけ全く改良もされていない物を使う事にもなります。軍医側もそろそろ次世代に任せたく練習もさせたいでしょうに。しかし教える時間も練習時間も無くそれが出来もせん。いい加減にしませんと大佐の首から上の生身のパーツが本当に無くなってしまいますぞ?」
「………………………」

「説教が死ぬほど嫌いなのは存じておりますし、ご自身でも分かっておられるでしょうが皆が心配なのです。ちゃんと考えてくだされ」

オペの繰り返しは当然本来の生身の部分にもダメージを与えることになる。

キララの説教嫌いは勿論だが、老技師自身も若者に説教をするのが大嫌いだ。


「ほれ大佐、誰も怒りはせんから素直に言いなされ。カルテが出来れば直ぐに帰れるんじゃから。ジジィと一晩過ごすなんて黒歴史を残したく無かろうて」
「……。怒らん代わりに呆れるんだろ?」
「『大佐が軍服好きになった』と言う噂はまだ聞いておりませんがのぉ?」

 

ズーっとお茶を啜る老技師の態度は最初から何も変わらない。

その様子にチッ!とキララが舌打ちをする。

 

「あーもー!!コンタクトのメモリーオーバーで爆発したんだ!これでいいか!?」

頭をガシガシ掻きながら、ついにキララが折れた。

顔を真っ赤にして素に戻り、本格的に拗ねたキララに老技師がホッホと笑う。

 

「軍服なんか好きになるわけ無いだろ!こんなヒラヒラで歩きにくいし動きにくいし!!」

「わしに文句言われてものぉ…。まぁ非常識の塊なお前さんには軍服はしんどいじゃろうがなぁ」

「常識ぐらい持ってるよ!使わないだけだ!!」

 

キララは本来素直で人に優しい。楽しい事が好きでムードメーカー気質だ。

だがそれを見せる事は無い。見せてはいけない。役職柄、場面に応じた様々な仮面を常に付けっぱなしの状態を保っている。

 

≪誰もキララを甘やかしてはいけない≫

 

軍内警察長として。死刑執行官として。最強部隊長として。

全てに置いて自己の感情など不要なのだ。冷静に全てを瞬時に見極めなければいけない。感情に邪魔されて一瞬の判断ミスが多大な被害を齎(もたら)す。

それを承知しているからこそ、キララは余程慣れ親しんだ相手以外には己の本当の感情を【ジグソウ】によって封じている。

 

「常識は使わんと損じゃぞ?」

「【ジグソウ】を入れてる時点で常識的な考えなんか求められてないわけ!奇抜で誰も思いつかない様なインスピが重要視されてんだから」

「まぁ義眼を自力で引っこ抜くのは有る意味奇抜かの…というか奇怪じゃな。こんなじゃじゃ馬な孫が出来たら絶対嫌じゃわ」

 

 

だが、甘やかして何が悪いと言うのだ。

感情にまで蓋をしなければならない非情な状況まで自分を押し込めなければならないキララ。

だからこそ、少しでも気を許す時間を与えてはいけないのか?

 

 

老技師は常々そう思っている。

上層部の命令は何故キララだけに降りているのか。仕事内容のせいと分かるが、それでも同じ【ジグソウ】の持ち主であるクルルと扱いの差の激しさに異論を持っている。

本当のキララを知っている者はガルルやプルルと片手程度と少ないが、老技師もその1人だ。

少佐時代から普段を知っている。とても仲間思いで良い子だ。それは何も変わっていない筈なのに。


「ジッ様嫌い!そういうのホントに大っ嫌い!!一言【老朽化による爆破】とでも書けば終わるのにいっつもいっつも!!明日から一生茶柱浮かぶな!!」
「阿呆ったれが。茶柱はその時の気分を左右する大事な事なんじゃぞ。それに、『尋問する側』のお前さんがこの程度を耐えられんでどうする?」
「生憎私はご老人や高度な技術者には敬意を払うし礼儀正しい性格だもンでね!!ジッ様の腕は信じてるし!でも今日は何かしつこいからヤダ!」
「わしの茶柱信仰を馬鹿にするその態度のどぉこに払われとるか分からんわい。全く、駄々捏ねずに何度も『眼鏡に変えろ』と言うとるじゃろうが」

クルルの眼鏡とキララのゴーグルは形は違うが情報処理と視力補助等、役割や機能は同じだ。
だがキララの方が扱う情報量が圧倒的に多いため、どうしても加えてコンタクトを使う。

「あんなダッサイぐるぐる眼鏡なんか絶対にイヤだね!何時の時代のデザインな訳?!ジッ様の時代でも無いでしょ!?」
「まぁダサいとは思うが…あんなもん仕事の間だけの話。表に滅多に出もせんのに何が不満じゃ?」
「何か最近周りが忘れがちだけど私は女なの!!美人なのピチピチなのお肌は水を弾くの!!外見気にして何が悪い!?」

「じゃから、仕事の間は眼鏡で外に出るときはコンタクトで万事解決じゃろ?」

「クルルとのおソロが嫌なの!!せめて掛けるなら自分のオリジナルが欲―しーいーのっ!!それに課に部下が戻る時もあるんだよ!?見られたくない!!」

まさかグルグル眼鏡を付けて一般兵の前に出る程キララは女を捨てていない。
ファンクラブの出来るこの美貌を隠す理由も無ければ必要も無い。あんなものは死んでも付けない。それゆえのコンタクトだ。
1
人で拗ねたりキレたり忙しいのぉ…、と思いながら老技師がカルテに漸く必要事項や処置理由などを書いていく。

「『おソロ』とか、流石にわしでも死語じゃと分かるぞ…。あんな薄っぺらいコンタクトにお前さんの処理するデータが持ち堪えられんのは自分が一番分かっとろうが。これだけ爆発させ続けてまだ分からんのか?【ジグソウ】の記憶回路、壊れとりゃせんか?」
「動いてるよ!だったら言わせて貰うけど、眼鏡を掛けるにしてもあのデザインを変えてよ!何であのパターンしか無い訳!?」
「2人しか使えん代物。で、クルル曹長は別段文句も無いようじゃしな」

「義眼チームと眼鏡の開発チームは一緒なのにいつの間にか眼鏡の方無くなってるし!ジッ様が主任なのに何で潰したのさ!?」
「じゃーから2人しか使わんし、クルル曹長から文句は無いし、お前さんが我慢して付ければ万事収まるから無くしたんじゃ。眼鏡より義眼爆破率の方が高いし金も掛かるんじゃからソッチに予算を突っ込むのは当たり前じゃろ?」


一向に好好爺のままの技師にキララもようやく落ち着いてきた。
と言うか、正論なのでなんとも言い返しにくい。


「ちょっと前に眼鏡作ってた奴に聞いたんだけどぉ…『現段階ではあの大きさと厚さが限界』って言われたんだけどさぁ。実はジッ様が眼鏡の製作をやったら直ぐ出来るオチじゃないの?えぇ?白状しろ」
「お前さんが遠慮無く義眼を爆発させるから眼鏡まで手が回らん。今回みたいに『いつでも瞳がウルウル効果★』とか、わしには意味の分からん効果を付属させようとするから余計にの。まーそろそろジジイには義眼だけでもしんどくてのぉ」
「うーそーつーけぇー。優雅に緑茶啜りやがって。ジッ様は【老いてなお旬】なタイプっしょ?旬なんだから頑張ってよね私の為に」
「義眼で手一杯だと何回言わす。…まぁアレも思えば随分大きな瓶底。お前さんは別嬪じゃしあんなもんで顔で隠すのは忍びないがなぁ」

数秒の沈黙の後。

「…7割9分嘘だ」
「おしいの。2割3厘が本当で7厘は全く思っとらん」
「なによそのすっげー微妙な数字ぃ!!」


朗らかに笑うジジイには一生勝てない。















毎回【ジグソウ】が絡むオペは相当な時間を費やすので、ガルルにはいつも課に戻らせ部隊への連絡や現状報告を頼んである。

とは言っても、扱う情報は全て極秘ばかり。ガルルがする事と言えば【キララの現状報告】だけだ。不在を伝えればデータは全てキララのPCに流れていく。
ガルルが自分の仕事を終わらせ、今のうちにキララの悪戯兵器のパーツ回収にでも行こうと思っていた時。

キララが手続きは全て衛生局に丸投げして超空間ゲートで課に戻ってきた。

「終わったか」
「おーよー…。ジッ様にしっかり嫌味も言われて来たさ。マジ凹んだ…」
「今は仕事も堪っているのに義眼オペだからな。連絡を回した部隊員達の空気も流石に良いとは言えん雰囲気だったぞ?」
「『何やってんだよ課長、馬鹿なの?氏ぬの?』って感じぃ?こんだけ処理してる上に別枠で1件やってるんだ。流石に目玉も飛び出すよ…」
「相変わらず捻くれてるなお前は…。技師主任に説教されて拗ねてるのか?」

「うっさいな!!でっ!?みんなは何だって!?」

「全員『そろそろ何処かに支障が出るだろう』と心配していた。案の定、お前はオペをするハメになるしな。随分隊員たちからも『休んでくれ』と言われていた様だが全部無視していただろう?ツケが回ったな」

「休んだら残業DEATH!!」

 

たっぷり老技師に搾られて機嫌悪く定位置の椅子に座ろうとするが。
それをグッ!とガルルが腕を掴み止める。


  「部屋に戻るぞ」
  「チークーショー…」


義眼手術もだが、キララの場合は全てが【ジグソウ】と精密に繋がっているので最低1日は安静にしなければならない。
通常生活なら支障は全く出ないが、ゴーグルやコンタクトなどと言うサブ機能を付けて仕事なんて以ての外だ。必死に繋げた人工神経ラインが切れてしまう。
そしてこのお目付け役もガルルの仕事の1つだ。
流石のキララも【ジグソウ】に関わる馬鹿な事はしないが、暇を理由にまた自分達への悪戯兵器を開発されても非常に困る。

「さーて、今から何をしようか…」

時間は中途半端に夜中の3時を過ぎている。寝るのが一番だが折角のこの時間を悪戯兵器の組み立てにも使いたい。
多少視覚野を使ったもので義眼と人工脳神経ラインを馴染ませなくてはいけないからだ。
自室に籠るか、ガルル単品を苛めようか、PCに来ているだろうデータを少しでも見ておこうかと、色々考えていたら。


  【キララ大佐、お戻りでしょうか】
  「っ、何だ?」


一瞬キララが柄にも無くビク付いた。

何故なら参謀本部の受け付けからだからだ。
上層部や個別の上級将官からは呼ばれるが、それ以外から呼ばれる事など滅多に無い。と言うか、無い。
何せ此処は【謎の第8課】だ。用事がある者がいる方が怖い。

「今戻った。どうした?」
【地球侵略先行部隊のケロロ軍曹より直接大佐へと緊急回線です】
「は?ケロロ軍曹?」

また一体何があったのか。
面識も有り話もするが、緊急回線を使ってまでの仲良し仲良しこよしでは無い。
何より管轄が全く違う。ケロボールで緊急回線を送るべきはグランド・スターで今も無駄にフヨフヨ浮いているであろう自分の兄の方だ。
それを自分へ緊急回線なのだから意味が分からない。ついでに『大佐相手』に緊急回線を使うだなんて、そんな度胸がケロロにあるとは思っていない。
ガルルを見るも、こちらも不思議そうな顔をしている。

「…まぁいい。繋げ」
【はい】

意味が分からないまま椅子に座りモニターを出すと。



   【キっ!キララ殿おおぉおおお!!やっと繋がったでありますぅうううううう!!!!】
   「はぁ…まぁ、今戻ったし…」




緊急回線だからもの凄く慌てているのはまだ分かる。
だが激烈に半泣き半べそで画面いっぱいにケロロの顔なのが分からない。どうやら普通の部隊が送るような緊急とは種類が違うようだ。
どうせ大変なのはケロロ達だけで、またしょーもないロクでもない事だろうとキララが肘を付きタバコに火をつける。

「何なの。つか…どしたの?」
【プルルちゃんがぁあああ!!クルルがああぁぁああ!!!!】
「はいはい落ち着いて深呼吸三回」
【ケロロ君退いて頂戴!!】
【ゲェロォォォォォォオオオオオオオオ!!!????】


瞬間、ケロロは鼻血を吹きながら後方にぶっ飛び、モアの悲痛な「おじさまー!!!」が司令室に響く。
プルルの容赦の無い上段からの空中蹴りが炸裂だ。コマンドで言えば→→↑大K。
ピンヒールなので暫く起き上がれないだろう。なんだか打ち上げられた魚のようにビクビクしている。

「おー、お見事!動きは鈍って無いねぇ」

 

楽しそうにパチパチと拍手をしながら笑っているキララ。少し強くなって無いか?と分析するガルル。

だがプルルの方はそれところではない。幼馴染を本気でダッシュ蹴りをするほど急いでいるのだ。緊急回線なのだから。

 

「プル姐久々じゃん。地球での生活どーよぉ?」
【早くコッチに来て!クルちゃんが倒れたの!!】
「栄養失調で?」
【冗談言ってる場合じゃないの!何処かの人工神経ラインが壊れたのよ!?【ジグソウ】かもしれないのに!!】



   それはクルルにとって。
 
   死と同じ。



冗談で済む話ではない。

「ゴメン、私も今義眼変えたばっかで調節中なんだ。いつもより遅めに落ち着いて話して」
【まぁたぁ?!今年何回目よ、全くタイミング悪いわねぇ】

「まだ二回目だもんね!!!」

【開き直らないで!!…それより、その状態でデータ見れる?】

プルルもキララがどのような作りか分かっている。
クルルと同じだ。だからこそ術後直ぐに動けないのも知っている。

「ホントに今戻ったばっかだし、目の慣らしに使わせてもらうさ。送って」
【え、えぇ。…無理にプラグとか接続しないでね…?】

 

心配そうなプルルにキララが苦笑する。


「本当に義眼だけで見るだけだよ。今プラグなんか使ったら軍医達から説教どころの騒ぎじゃねーし、私の頭も大破するからね」


こうして急いでプルルから現段階で分かるカルテが送られてきた。

「報告を」
【本人がフラフラで突然保健室に来たのよ。そしてそのまま倒れた。イヤフォンと眼鏡に異常は無いそうよ。ここで出来る身体検査に異常は無し】
「今小隊が扱ってるデータで何かバグでも入れられた可能性は?」
【確かにクルちゃんが全て扱ってるけど【ジグソウ】が入ってるのよ?無いと思うけど…】
「クルルの【ジグソウ】はヴァージョン幾つ?」
【星を出てから入れ替えて無いからver.3のままの筈】
「3か…。余程が無ければ外部ウイルスは無いと思うけど。アンゴル族のお嬢さんから何か情報は?」
【モアちゃんは擬態状態での活動限界が4時間で情報に限りが有るわ。一応聞いたけどクルちゃんしか分からない物も多いみたい】

 

プルルの報告をフムフムと聞きながら、キララがPCをスリープから立ち上げて素早くキーを叩いていく。

勿論やっているのは上層部データへのハッキングだ。

 

【キララちゃん、どう?】
「ん〜、今現在本部からのクルル単独任務も無いみたい。それに伴うデータ関係も違うな。つかお嬢さんが見れないって、ぜってー裏ファイルのエロ系だよね……、流石に発想がベタかな?」

【クルちゃんの趣味は私にはあんまり分からないけど【18歳未満お断りデータ】だったら冬樹くんの情緒教育の為にも是非とも消したい所かしら。でもクルちゃんの事だから有料サイトから無断でデータ引っこ抜いてたりするんじゃないの?出来そうだし】

「まぁ出来るだろうね。簡単だしトロロも色気づいたらやるんだろうよ…んでタルルと見たりとかさぁ…。うわやーだー、フケツー、ガルルってばフケツ―」

「さりげなく俺を引っ張り込むな!!と言うか俺まで思春期のガキと一緒にするな!!」
「だって男なんて何歳になってもそんなもんじゃないのぉ?プル姐、頭の方頂戴」

【直ぐに送るわ。レントゲンより【ジグソウ】の配線データでいいわよね?】

「おう、そっちなら分かる。ver.5の頭脳をナめんなよ?」


プルルのカルテを見ても、本職のプルル以上にキララに医療知識は無い。
身体に異常無しとなれば、やはり問題は頭。

【それはいつも通り『見えて』から言いなさいよ全く…。あと隊長は年齢の割りに早めに枯れてる気がするわ】
「何を根拠に!?いい加減にしろプルル!!!」

「あ〜、何か分かるかも…」

「女のお前に分かって堪るか!?納得出来る根拠を言え!!!!」

「だって兄者と比べたら…。プル姐、クルルに直接会えそうなら移動して」

「比べる対象が完全に間違っている!!あの方は別枠だ!!!」

「じゃあガルルの同年代って誰だよ?まさかの【ゾルル】って言われたら私どうしようも無いんだけど。リアクションが取れない」

「言うか!?いい加減にしろ!!!」
【ちょっと隊長煩いですよ?ココ、みんな聞いてるんですけど…。キララちゃん、クルちゃん話せるか分からないわよ?】
「それでもいい。あと…」

送られてきた脳神経の配線データを見ながらキララが小声になる。


    「クルルの頭ん中、ヤバいってその小隊全員知ってんの?」
    【ヤバい事は知ってるけど『配線だらけ』なのは知らないわ】


つまり、【ジグソウシステム】が入っている事を知らないのだ。
元々表に出る代物でもないので知らなくても当たり前だが、こうなるとプルル1人しか動けないことになる。

「了解。ミクロイド光線の準備。そのままクルルに会わせて」
【分かった。モアちゃん手伝って!ケロロ君たちは絶対に来ないで頂戴!!】
【は、はい!】
【ゲロ?!な、何でっ!!】
【来たら怒るわよ!?今の蹴りじゃ済まないからね!?追加でフケツの烙印もよ!!】

それだけ言うとプルルが急いで保健室に戻る。
その間にキララも送られてきた脳内部データを見るが。

「チッ、細かいなやっぱり…せめてコンタクト…」

いくら義眼の性能が上がっていても、やはり限界は有る。
何よりまだ神経が馴染んでいないのが致命的だ。無理に見ようとすると痛くて仕方ない。


「キララ、大丈夫なのかクルル曹長は」
「分からん。近いのに見えん。場所や破損具合によっては【ver.3と共に回収及び分解・破棄】だ」

「老眼いるか?」

「よしお前コレ終わったら表に出ろ」

【ジグソウ】はマザーシステムからver.1を作り出し、今なお進化を遂げている。クルルが作り出したと言っても過言ではない。

義眼オペのあとはいつも「老眼ってこんな感じなのかな〜」と、まだ細かいものが見辛いがキララの目にある部分が止まった。

「うーわっ…プル姐マッハ!!ミクロイドいらない一人でいい!」
【えっ?!じゃあモアちゃんもご免なさい!ケロロ君達が来ないように見張ってて!!】
【えっ!えっ!?】
「クルルズラボから保健室までの距離は!?」
【コースありすぎて分からないけど歩いてきたのは確かよ!キララちゃん何処が悪いの?!】

ようやく保健室に入れば横たわる金髪。

「クルル私だ、話せるか?」
【っ…ク…】
「まぁ無理か…【ジグソウ】。≪ゲスト・キララ≫。声紋認証にリトライ開始。システム強制オープン」


キララの言葉にヒィンとクルルのイヤフォンから一瞬だけ音が鳴った。
ヴァージョンは違うものの、同じ【ジグソウシステム】を埋め込まれているので、お互いの声紋はアカウント登録されている。

いつもなら【ジグソウ】は開けっ放しの状態なので意識することはないし、コレで本人がブロックを掛けていない限り強制的に【クルルのジグソウ】が開くのだが。

システムの開く音が全く聞えない。

「…あーららぁ…」
「どうした?」
「駄目だわ動かない。クルル相当やられちゃってる…」

【えぇ!?ちょっ、どうしたらいいのよ!!】

「プル姐急いでクルルをスリープモードに。やられてるのは蝸牛。多分三半規管全部だ」
【分かった!吐かないでねクルちゃん!】


手際のいいプルルの処置によりクルルは一瞬で眠りに付いた。
何とか保健室にてリバースの危機は去った。



「はぁ…こりゃダメージ凄いし【ジグソウ】なんか動かす余裕無いわな。相当酷い壊れ方してるっぽいし。私よりエグい事するなんて中々だ…」
【じゃあ本当にシステム自体が壊れてるって事?】

カルテを見ながらキララが嫌な顔をする。場所も然ることながら、まさに悪意しか感じない。

これを自分がやられたら、それこそクルルと同じ状態に陥る。絶対に嫌だ。

 

「いや、コレは部分破壊だね。【ジグソウ】自体の全体的なダメージは軽いけど…まぁ身体的にダメージを与える意味で場所が悪過ぎる。直ぐにカルテをジグソウチームに送るよ。全く、作った本人が壊されるなんて情け無い…」
「お前がシステムを動かせないとなると本当に酷いんだな…」
「まぁねー。気持ち悪いわ何やらで『動かせない』んだろうよ。『私の強制』でも動かなかったし相当ダメージ負ってるわ。三半規管やられて良く歩けたよ…」

死ぬとは言いすぎだが、天地も分からず強烈な吐き気と眩暈で襲われている中。
1歩でも歩くだけでもまさに感服、と言ったところか。

【キララちゃん、どうすればいい?】

 

クルルをしっかりと横にさせて掛け布団を掛けるが、プルルにはここから先が分からない。


「プル姐って【ジグソウ】のオペに立ち会ったこと有る?」
【部分パーツやグラフィックでの練習はした事は有るけどフルでの入れ替えは無いわ】
「ちょっとでも経験値が有るだけでもいい。私はとにかくジグソウチームを纏めて直ぐにソッチに行く。その間クルルは完全無菌消毒状態の場所へ。イヤフォンも眼鏡も外して無菌状態に頼む。地球はコッチより雑菌やウイルスが多いって聞いてるし、【ジグソウ】に付いたらシャレにならん。イヤフォンの外し方知ってるよね?」

【一応…。触ったこと無いけど…】

「ンなもん、本人寝てるし勝手にやっときゃいいんだって。気にしない気にしない!別に感電する訳でも無いし怖く無いからガンバレ!残りはプル姐がプロだから宜しく。あ、あとは地球人や小隊メンバーへの面会謝絶の言い訳。それにとにかく一番はケロボールだな。出来る?」
【何とか頑張るわ。はぁ、キララちゃんがいて良かったわよ…】

やる事が山積みで、決して全てを出来るとは言い切れないが。
何も分からず患者が倒れるより、原因が分かるだけでも安心する。

「『倒れた原因』は分かったけど『壊れた原因』が分からない。そっちも急ぎだ」
【どのくらいで到着出来る?】
「緊急事態だ。高速船使って急がせるけど、まさかその秘密基地に大量のケロン人が入る訳にも…」
【それこそ言い訳利かないわよ!?】
「ダーヨーネー…いや、分かってたけど、クルルだけをコッチに戻すにも面倒な擦れ違いが起こるから…」

長時間の睡眠は体力を削る。元々体力の無いクルルでは長時間のオペに絶えられなくなってしまう。
その上、眠っている間にも人工神経以外の本来の脳内神経も破壊され続けるのだ。
クルルだけをケロンに戻す訳にもいかないし、そんなに早い船も無い。一刻を争う。

「しゃーね。プル姐、オペは地球でやる。ケロボールで場所を作る」
【えっ!?それってジグソウチームをこっちに寄越すって事?!場所って言われても!!】
「おいキララ!?」
「その秘密基地広いんだろ?十分な場所は確保出来る。手続きその他は全部キララ様に任せなさい。私なら上に融通は十分に効く。私は一足先にソッチに行ってクルルの状態を見て技師たちに伝えないと」

つまり、クルルのイヤフォンを使ってキララ自身が【クルルのジグソウ】の中身を見ると言う事だ。
それに互いにイヤフォンを繋げば眠っているクルルとも会話が出来る。相当難しいシンクロだが何度か成功している。
同じジグソウを埋め込まれているからこそ、キララに出来る事だ。そしてキララにしか出来ないことだ。
壊れることなど思いもしなかったシステムが壊れたのだ。キララだって原因を知らなくては恐くて仕方ない。


「プル姐はケロロたちを何とか防いで。知らないなら教える必要は無い」
【了解。…あら?】
「何?」
【流石クルちゃん。ディスクあったわ】

脱がせた上着をハンガーに掛けようとしたら、ポケットらは一枚の白いディスク。
だがキララの表情は暗い。

「それ…やられてから作ったのかな…」
【分からないけど見てみましょう】

プルルがパソコンで再生させる。
中身はたった一文だけだった。


      ムツミ  ニ  ダマッテロ


「地球人データにそんな名前の奴居たな」
【クルちゃんの恋人よ】
「成る程ね。他と比べてかなり要所を省いたデータだったから変だと思ってたけど…恋人の事は身内にも秘密ってか」


この文章を打っている時の、クルルの気持ちは…。

「辛いな…。そいつもクルルも」

 

知られたく無い事を、知りたく無い事を、知る必要が出てきた。

 

 

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