「品物を注文して入金も完了したにも関わらず、品物が期日より10日以上遅れた場合は?」
「詐欺です」
ボンヤリしているの言葉に部下が即答する。
「だーよーねぇ…ケロロ小隊に本部直通の緊急回線繋いで」
「了解」
●小話●
こちら地球。
「ふぁ〜、今日も暇かぁ?」
「何も無い事が一番ですよ。って言うか天下泰平?」
ケロロ小隊地下秘密基地にて。
現在腑抜け街道まっしぐらなケロロ小隊。
あまりに暇なのでクルルがまた怪しい発明でもしてやろうかと、そんな矢先。
ケローン♪ケローン♪
「緊急回線です!ケロン軍本部の参謀局からです!!」
「おっとぉ?早く繋いでやれ」
「はい!ではモニターに」
また珍しい所からと、クルルが楽しくなりそうだと思った瞬間。
血の気が引いた。
『クルル曹長!ケロロ軍曹を今すぐ呼んで来い!!』
え、何で大佐が?
しかも滅茶苦茶怒ってる。
『速やかに動け!!』
「あ、はい!私が行ってきます!!」
あまりにもな迫力に初対面のモアが急いで動く。
クルルとしてはが分かりやすく怒る姿を初めて見たので何だか新鮮だった。
「ククッ、冷静さを求められる大佐ともあろう方が。なぁに取り乱してんだぁ?」
『煩い。個人的な事だよ。ケロロ軍曹が来るまで嫌がらせするから』
そう言ってあからさまにムスッとしている。
モニターの向こうからカタカタ聞こえると思ったら。
「おいちょっと待て!お前コレ嫌がらせの域超えてんだろ!?」
『煩いな…はーい、ウォール全層突破。データの強制リトライ開始ぃ』
「待てってオイ!?何すんだテメェ!!」
ケロロ小隊のデータがアチコチ破壊されている。
流石は。速さがトロロの比では無いし破壊力も抜群。
書き換えされた所はアチコチ目が潰れそうなガチムチ兄貴達の何とも言えない画像のオンパレード。
「見せんなこんなモン!!馬鹿じゃねぇのお前!?」
『だったら早く連れて来い』
「クーッ!!!……ったく、何したんだよ隊長のヤロー!!!」
いくら怒っているとは言え、いきなりデータベースを滅茶苦茶に破壊されては溜まったものではない。
しかも直すにはこのガチムチ兄貴達を嫌でも見なければいけない。
クルルも自分は『陰湿陰険嫌な奴』だと自負しているが、ほどでは無いと思いたい。
自分より頭の回転が速いのが口惜しいが、そのお陰で自分が抜けてからもケロン軍は正常にメカニック部分が保たれている。
ただ……ここまで全力で嫌がらせに力は使わない。
『…詐欺られた』
ポツリとそう言うと、全てのデータが元に戻った。
全く、心臓に悪すぎる嫌がらせだ。吐き気がする。
「そりゃ目出度い事もあったな!クソっ!!」
訳が分からない状態でクルルがデータベースの確認をしていると。
「呼んできました!!」
「ゲロォォオ!!大佐!!っじゃなくて課長!!一体何事でありますかぁあ!?」
「知ぃらね。隊長が詐欺ったんだろぉ?」
「我輩何も知らないでありますよ!?」
何の用事でいきなり大佐級から連絡が来るというのだ。
慌てるケロロにが眉間に皺を寄せっぱなしで口を開く。
『地球で発売されるケータイの【シャア専用ザクシリーズ】。頼んだよね?』
「えっ?わ、我輩頼まれた覚えが…」
『本部からメールで一ヶ月も前に頼んだよね?お金もケロロの明細に追加で振り込んであったでしょ?』
「ゲロっ!?あの追加入金は…我輩の努力の賜物ではっ…」
一体本人は何を努力したのだろうか。まさかのガンプラ製作?
ソコにもの凄く疑問を持つが取り合えず黙るモアとクルル。
確かに今月のケロロの給料には驚くほど上がっていた。
そして本部メールはいつも通り【見なかったことフォルダ】に行っているのだろう。
『そんな訳、無くない?』
参謀役二人の疑問は、の輝かしい笑顔で解消された。
そう、そんな訳あってたまるか。
『私の名義で振り込んだ!!どう言う事!?楽しみにしてたのに詐欺!!兄者に言いつけて減給したろか!?』
「ギョヘェェエエ!!ガララ大佐だけはどうかっ!!平に!!平にぃぃいい!!」
グランド・スター最高責任者であり、ケロロ小隊の上司でもあるガララ大佐はの兄だ。
ガルル中尉の取り合いで死ぬほど仲が悪い癖に、苛めに関してだけはまるでケロロとクルルのように最強のタッグを組む。
ただし、階級がどちらも『大佐』なだけにやる事はエグい。
『まっ。兄者に借りなんか作りたくも無いからそれはしないけどさ……詐欺は詐欺だ。私が上に挙げてもいいんだぞ?』
率いる調略部隊の事だろう。
このケロン軍最強裏部隊が動いた日には、もうケロロに居場所は無い。小隊もだ。
を敵に回していいケロン軍人はいない。総帥でもだ。
実質彼女がケロン軍の頂点と言ってもあながち間違いではない。
「で、でも詐欺って!!我輩だって欲しかったであります!それにすっごい高いし限定生産で!!」
『だから一ヶ月も前に連絡したしお金も入れたって言ってるでしょ!?だから詐欺だっつってんの!!』
「けーどよぉ。あの『大佐』がいっぱしの軍曹程度に詐欺られたってバレんだぜぇ?」
『んな事、消せばいいだけの話だ』
クルルの言葉もザックリ切り捨てる。
揉み消し・捏造・隠滅。
それも仕事の一部なのだから、からすれば鼻で笑える抵抗だ。
『私の諜報略奪部隊をナめるな』
さぁ次はどんな言い訳をするつもりだ?と、が嫌な笑いで待っていると。
何故か。
「我輩!!」
ケロロがキれた。
「我輩!課長のそう言う薄っぺらいマニアなところが嫌であります!!」
『はぁ!?なに、逆ギレ!?』
「本当に欲しいコレクターでも手に入らないのに!別にガンプラに興味あるわけでも無いのに欲しがって!!」
『そんなの関係ないでしょう!?てか私別にマニアじゃないし!!ただ純粋に欲しいから頼んだだけじゃんか!』
「マニアやオタクの悲しみを知らない課長には絶対に渡さないでありますよ!!」
『渡さない以前に『手に入れてんのか!?』って話!!』
ギャーギャー始まってしまった喧嘩。
非常に幼稚な内容なので、これ以降は省略して。
「…つーか隊長ぉ、金だけは戻しとけよぉ?マジで詐欺んなるからなぁ」
いつまでも煩い二人にクルルが終止符を打つ。
『そうだよお金は戻してよ!許せる金額じゃないよ!?』
「ゲっ!!っロぉ…そ、そりはぁ…」
冷や汗と逃げ足体制のケロロ。
勿論見逃せる状況ではない。
『どうせガンプラに使ったんでしょ!!トイチで返してもらうからね!?』
「ゲロォオオオオ!!無理でありますあんな大金っ!!金持ちの癖にこの守銭奴!!」
『んな事自分が一番知ってるわ!!金だけは返せ!!』
「んーでぇ、ちなみにいくら上乗せされてたんだぁ?」
「…10万ほど…で、ありますっ…てゆーか我輩が悪いの!?クルルが教えてくれなかったから!!」
『人のせいにするのはいいけどお金は返してもらうからね!』
現在地球は夏美とガンプラに守られています。
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別館で拍手に使っていたのを加筆修正。課長とケロロ小隊も、クルル経由で仲良し(そうか?)な感じで。
すーっごい昔の話ですが、シャア専用ザクのケータイが出た時は欲しかったです。
でも限定生産で10万もするので太刀打ち出来ないという…。誰が買うんだと思ってたけど全部履けたし凄いと思いました。