「何をしてくれるんだっ!!!」



バターン!と扉が壊れる勢いで怒鳴りながらガルル小隊が入ってきた。



今日のの苛めは
小隊も巻き添込み絶好調だ。





●乙女には分からぬ領域にて☆●








「あぁ、来た?」

突然怒鳴り込んできた割にニッコリデスクで笑っている

「貴女は一体何がしたいのですかっ?!」

入ってきたガルル小隊のメンバー。
だが全員が無事ではない。
隊長のガルルは
当て身を食らわせ気絶させたトロロを担いで顔面真っ青。
ゾルルは
鼻血を吹いているタルルを抱え、悪い顔色が更に悪い。
プルルは1人、
爆笑寸前だ。

ちゃっ…た、隊長の血圧っ…上がっちゃうからっ!」
「この程度で上がりはせん!!」

小刻みに痙攣しているプルルに怒鳴ったあとを見ればコッチも爆笑寸前らしい。
デスクをバシバシ!叩きながら口を押さえつつ涙目で痙攣していた。
















本日晴天也。
と言うか、気象は全てマシンで管理されているからあまり関係は無いが。
ガルルの部屋には小隊メンバーが集まり次の仕事の話をしていた。

「それでは今回の説明は以上だ。各自気を引き締め任務に当たりたまえ」

それでは解散。
と、ガルルが言おうとした瞬間。


《ガルル小隊諸君、揃っているかな〜?ちゃんだよー



突然内線スピーカーからの声が飛んできた。
そして勝手にスクリーンが現れる。

「なっ?!いつの間にまたっ!!」

各個人専用の部屋には防犯用監視カメラはあるが、プライバシー保護の為に部屋の主にスイッチ権利がある。
だがの指揮下に置かれてから、ガルルの部屋には明らかに軍が取り付けたものではない監視カメラや盗聴器が。
何度も何度も嫌に成る程、破壊しても取り付けられていた。
が部下を使って取り付けているのは分かっている。だが証拠を残す筈もない。
そもそも開けるには
【指紋・網膜・静脈・階級章】の四つのキーが必要なのに何で入れるんだという話だ。
そんな事が出来る人間は相当限られるし明らかにの仕業なのだが…
やはり証拠が無いので問い正す事すら出来ずにこの無言の攻防戦は続いている。

「ププ〜っ♪隊長またやられてルシ」
大佐ぁ!いるっスよ〜!!」
「またか…」
ちゃんどうしたの?」


苦い表情はガルルだけ。
トロロとプルルはがガルルを苛めるのを面白がり。
タルルは伝説的で憧れのが大好きだ。勿論
驚異的なフィルターを発揮して【強くて美しい外側】しか見ないが。
ゾルルだけが哀れな隊長に火の粉が飛び移らない程度に同情していた。


大佐!私に用事があるならば内線で呼んで頂きたい!こんなスピーカーなどいつの間に!!」
《私じゃナイヨー?お伽噺の妖精さんの仕業ダヨー》

ふざけるに血圧が上がりそうなガルル。

《それにガルルの部下は私の部下にもなるでしょ?》
「なりませんね。私だけが護衛役を預かるのみで
彼らは全く関係ありません」
《お堅いなぁ。まぁ小隊が集まってるならコレ見てよ》

相変わらず話を聞かないに苛立ちが止まらないが、部下の手前だ。
モニターが降りてる割には音声のみなので全員が気にはなっていたスクリーン。

《トロロにはちょーっとだけ刺激強いかもしれないけど》
「プッ!バカにシナイデよ!?18禁とか平気だ
ムグッ!!」

上官相手になんて口の聞き方を…と、なる前にゾルルがパッと口を塞ぐ。
ハッカー小僧にはグロテスクな映像などへっちゃらだ。
何より子供扱いされる事が大嫌い。

《んー、それはそれで結構問題発言かな…。プル姐、後でガルルとトロロに
教育的指導を》
「はい了解♪」
「何故私まで?!」
《部下の失態は隊長の失態だ。部下の教育がなって無い。当たり前でしょー?》
「っ…、部下が、失礼致しました…」

たまーに正しい事もは織り交ぜてくるから腹立たしい。
プルルの瞳が楽しそうに怪しくギラリと二人を捕えつつ。

「それにしてもちゃん、何を見せたいの?」
「大佐ぁ、焦らさないで下さいよ!オイラも気になるスよぉ!」

の仕事は小隊全員が知っている。
この
軍内裏情報満載からの映像だ。気になって仕方がない。


《私一人じゃ判断がつかない代物だ。皆の意見を聞きたいから真剣に見て欲しい》

砕けた口調から突然真面目口調になるに全員が何事かと気構えをする。

 

どんな恐ろしい映像なんだ…


《それじゃあ流すよ》


















「教育的指導を受けるべきはお前だ!!子供と未成年になんてものをっ!!」


気絶しているトロロと出血多量のタルルをソファに寝かせ。
その二人をプルルが看護し、ガルルは
バン!のデスクを正面から叩く。
だがはガルルの言葉に眉間に皺を寄せる。


「子供?未成年?
どちらも『軍人』だろう?関係は無い」

「っ…だがっ」

「そしてコレは事実だ。全員の意見を聞きたい」

ガルルもの言葉に怒気を下げる。
今回は半分は本当に仕事なのだ。
勿論残り半分は嫌がらせだが。


「で。どうにも私はこの手の映像を見すぎて麻痺してるらしい。部下もみーんな」

ガルルが沈黙したのを確認して。
が溜め息を付きながらパソコンモニターに先程ガルル小隊に見せた映像を流す。

「流すな!!お前も軍人だが仮にも女だろうが!!」
「仮じゃなくても女だよ。で、どう思う?」

煙草に火を付けうんざりと映像を見る


流れている映像は男性同士のセックスシーン。
そこには
結構ハイレベルなSMが繰り広げられている。
しかもどう見ても盗撮なのだ。
マニアにはたまらないだろう。


「何かさぁ。こう言うの見ても
『軍服に黒皮手袋でSMってベタに最強じゃん?』程度にしか見えないのよ…」

何もが見ているのはその辺の盗撮ゲイビデオでは無い。好んで見る趣味も無い。
彼らはどう見てもケロン軍人同士だ。
流石諜略課と言うべきか、画質も音質も
無駄に超クリア。
その上、画像にクリーンアップが掛けられ顔の認識照合結果なども全て表示されている。

「課の皆も
『SMとはいかに!?』で討論になり始めて。どうしよっかなー?ってなっちゃって」

それはそれは、随分な麻痺っぷりも良いところだ。
だがアサシンからの精鋭達は勿論色事にも訓練をバッチリ受けている。
その結果がこうなった。現在諜略課ではそんな話題で派閥まで出来かけている。




ケロン軍は勿論名前の通り【軍隊】だ。
女性の割合などコンマに近いし、男性同士が戦地で極限状態になればなる程、関係を持つのは当たり前。
大抵は『上司が部下に』コース。
『言うこと聞かなきゃ鉄砲玉』とでも言えばOK。楽勝ゲットだ。
綺麗な兵に女装させるなど日常茶飯事。女性が少ないとどうしてもこうなってしまう。


それについては何とも思わないし、男の生理現象が獣並みに堕ちただけの話だ。
そのままゲイになるもよし。女性に鞍替えするもよし。
訓練所でも多々ある現象だ。むしろ入隊して五年間クリーンな方が『大丈夫?』と心境複雑にもなる。




「で。任務さえキチンと遂行するなら構わないんだけど、ちょっとココはヤバい」

新しい煙草に火をつけながらボンヤリムービーを眺める

「遠方の長期戦闘を見込んで結構な中隊を組んだんだけど、ここの上官達は長く戻れないせいか片っ端から手ぇ付けてるんだ」

ピッと大型モニターに部隊構成員が並ぶ。
兵卒階級には殆んど名前に×が付いていた。

「遠方で目が届かないと思ってるのか
殆んどハーレム乱交状態。終わるとネコ側は戦闘に出られない程らしい」

淡々と真面目にが話続ける間もムービーからはビシバシアンアンv聞こえてくる。
そしてタルルの鼻血も止まらない。

男性陣はこの事については女性がいるので何とも口を開きにくい。
全てを話し切ったのか、漸くが映像を切る。
表情は、やはりうんざりしていた。


 

 



「………。で、…それを我等に見せて何を?」

ようやくガルルが青い顔をしながら口を開く。
米神の青筋はまだ消えていないが。

「この部隊は任務は確かに遂行中だが、遂行率が部隊編成の割に相当遅い。この遅い原因が兵卒ハーレムのせいかどうかの見極めを」
ちゃん、ココ相当な超遠方部隊なのに何処からこんな映像を手に入れたの?」
「それは秘密
遂行率の低さはネコ側の戦闘に出られずって事だろう…なんだろうけどねぇ…」


  部下たちは見慣れてしまっている上に決定権は無い。
  だからと言ってはこれは挙げるほどの事なのかどうか判断が付かないのだ。一応任務は進んでいるし。

この部隊の任務はそんなに急いでいる訳でもない。

さてどうしたものか。


「簡単な話。私女だからこれがどうなのか男性陣に聞きたかったわけ」

カチっと新しい煙草に火を付けガルルを見る。

「これってやっぱキッツイの?」

 

振られたガルルが死ぬほど逃げたくなった。

どう答えろというのだ。


「…だからとて、我等に見せる必要が…?」
「あぁ、トロロの場合は訓練所をスルーで入隊したから事実を見といた方がいい。タルルもいつガルルからーって」
「私が男に欲情すると言いたいのか!?」
「しないの?
え、不能?プル姐の出番か」

「こんのっ!?」
…ガルルにソノ気は無い。無駄に煽るな…」

血圧が上がる、としっかり付け加えて。

「でもゾルル、このガルル様は【ケロン軍男性アンケート・抱きたい抱かれたい男No.1!】を
ずっと独走中なんだよ?」
「でもぉ、隊長はぁ」

含みのあるプルルの発言に、あぁとが納得する。

「ショタ専ブラコンだったね」
「違うわ!!!プルル!お前等いい加減にしろ!」


バシン!もう何度目か分からないが机を叩く。
だがはシカトだ。勿論わざとやっているのだから。


「タルル。いつ他の部隊と合同作戦かも分からないから気をつけなよ?」
「おっ…オイラは…っ師匠に…」

ようやく鼻血は止まったが貧血でボンヤリしているタルル。

「ふむ、健気に一筋か。そのタママ二等はケロロ軍曹だし。ウチの軍って全体的に超爛れてるけど
偶に純情ピュアが隠れてるんだよね」
「でもタルちゃんは応援すべきよ?」
「うーん…でも初恋は実らないジンクス固いじゃん。超遠距離だし」
「それは言わないで…欲しいッス、マジ泣けるから…」

「え?じゃあタルルってマジでタママ二等が初恋になるの?」
「当初の目的いいいぃぃぃぃいい!!!!」



と、今日1の大声を張り上げるガルル。
そういう反応をするから…と、内心呆れるゾルル。

「結局はこの事実の仕分けだろう!?ならば私がしてやる!さっさと挙げてしまえ!!」
「そう?」
「そうだ!皆戻るぞ下らん!!」
「ちなみにガルル、
今日は存分に私を呼び捨てタメ語なんだけどそれはどうしようか?」

戻ろうとしたガルルがピタッと止まった。
はニコニコ笑っている。
互いに勤務外ならまだ切り抜けられたかもしれないが、内容はともかく
勤務中の上官に向かってなんつー事をとなる。



「ガールールぅ〜?」

何かを企む怪しい
この楽しそうなに何度酷い目に会わされた事か。
御愁傷様とゾルルとプルル。

「勤務態度と上官に対する不敬罪で挙げられたく無ければ…」



  無ければなんだ?!今日は何をさせる気だ!?



「この中隊の映像、あるだけ全部見てレポート提出
「なっ!?」
「ちなみに私はもう全部見てるからサボると分かるよ?」

そう言うとがドサッ!とディスクを取り出した。
小さなディスクがみかん箱一杯。凄い量だ。早送りでも1週間はかかりそうな…

「嫌だったら良いよ?代わりにガルルの交際履歴を噂に流すとかぁ」
「書かせて頂く!!」


こうしてガルル小隊入ってきた時同様、怒り任せには引き上げた。



「…そんなに知られたくないような相手なのか?逆に気になるな…調べてみようかな…」

当然、のカマ賭けには全く気付いていない。




二週間後、ガルルはヘロヘロになりながら本当にレポートを提出したとか。






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だって軍隊だもん。一度はやりたいネタ(笑)

ゾルルとガルルは同年代だろうと。人間年齢はトロロは13歳くらい。タルルは17歳くらいを考えて。