「ねーー、コレ何だろうねぇ?」
ピラッと目の前にあるのは捨てたはずの…
「さぁ、俺に説明して貰おうか?」
「え、ヤダ」
「ヤダじゃないの!!」
何で持ってるの?ソレ。
●面倒臭いお兄ちゃんだと思いませんか?●
皆さんこんにちは、です。
何であたしが今、むーちゃんから偉そうに笑顔圧力を掛けられているか。
順を追って簡単に説明します。
今日も学生の本分である勉学に勤しみ、のんびり買い物をして帰ってきたら。
取り合えず玄関が開いていてビックリしました。
むーちゃんが戸締まりを放棄したと思い【今日は夕飯抜き】と心に決めながら、習字の文鎮を装備して入ったら。
「ちょっとそれで殴るの無し!!」
中にいたのは泥棒さんじゃなくて腰を抜かしたむーちゃんでした。
文鎮は流石にダメかな?と思いましたが、高校生がこんなに早い時間に帰ってくる事は無いので。
サボりだろうとやっぱり殴ろうと思い直してたら。
「ほら、ランドセル置いて。ちょっとこっち来なさい」
むーちゃん、何だか機嫌が悪かったんです。
正直、あたしがむーちゃんに怒られる言われなんて1つも無いのですが、八つ当たりなのか何なのか。
取り合えず冷蔵庫に食材を入れてから黙って拗ねてるむーちゃんの前に座ったら。
「なに、コレ?」
シュレッダーに掛けてビリビリにしたはずのプリントがありました。
【授業参観】の。
「、何で隠したの?」
「その前にそのプリント、何で元通りでソコにあるの?」
それ、紙吹雪並みに破り捨ててもうごみ袋の袋も閉じたのに。
そっちの方が不思議で仕方が無いです。でも自分の名前が入ってるからやっぱりソレ、のプリントだし…
まさかワザワザ糊でくっつけた?むーちゃんがごみ漁り?色々分かんないです。
「ククーっ、俺様が見付けて元に戻したんだよ」
「クルルが?」
「そこまでバラバラに隠滅したがってんなら気になるじゃねーかよぉ?次からはコンビニとかに捨てな」
クルル、いつの部屋に入ったんだろう?破ってすぐごみ袋の口絞めたのに。
それにしても甘かったのはの方です。
でもね、コンビニやスーパーに家庭ごみを捨てるのってマナー違反なんだよ?
「、今全く関係無い事考えてるだろうけど。ちゃんと答えて」
「じゃあ終わったらむーちゃんも答えてね?」
「俺が何を?」
「サボって早く帰ってきた理由とか、の部屋に勝手に入った理由とか、何でそんなにに上から目線なのかとか、色々」
まさかに楯突いて自分が無傷で済むとでも思ってたのかな?
いっぱい聞きたいことがあるんです。今日はどのガンプラ処刑しようかな…
「むーちゃん言いたいことあるなら早く。ご飯作りたい」
むーちゃんの立場、より上じゃ無いんだよ?
言わないけど。
「、こういう行事ものはちゃんと見せろって言ってるだろ?」
「むーちゃん来るからヤダ」
「何で?!」
そんなに大声出す事なのかなぁ?
拗ねるし怒るし、絶対むーちゃんの中身はより子供な気がする。
あれだよね、駄々っ子って言うんだよねきっと。
「授業参観なら行かないとだって寂しいでしょ?!」
「だってそれ平日だよ?むーちゃん学校サボる事になるから嫌。あと1人若くて目立つし恥ずかしい。はい終了。次の番ね?」
「まだ俺の番!そんなに行っちゃダメなの?!」
「うんダメ。全然寂しくないし」
むーちゃんだって学生さんだし、学校があるのに。
授業参観なんて見てても何にも楽しく無いのに、どうして毎回こんなに来たがるのかな?
昔はなっちゃんがいたから会わせようとも思ってたけど、もう今は中学行ったし。
むーちゃんの考えがさっぱり理解出来ません。
ついでにが怒られる理由も。むーちゃんが拗ねると面倒だから隠してたのに…
「クルルのせいだからクルルもご飯抜き。しばらくカレーは延期します」
「クッ?!俺様からカレーを奪うつもりか!?」
「クルルが変なことしたからむーちゃんがこうなったんだもん。に嫌がらせするなんて酷いよ」
そして無傷で終わるなんて甘いよ?
は何にも悪いことしてないもん。
「おしまい?の言い分に何かおかしなトコある?」
「…別に…無いけどさ…」
もー。ほらむーちゃん余計に拗ねたぁ。
理詰めすると絶対むーちゃん凄く拗ねるから面倒なんです。
あ、でもむーちゃんは基本笑顔だから、こういう表情の写メもなっちゃん喜ぶかなぁ?
「ほらむーちゃん。怒ったままは嫌だよ?」
「ん…」
拗ねたむーちゃんを回復させる方法。
ぎゅーのハグ。俯いてるむーちゃんに近付いたらぎゅーってしてきた。
何で、まだ10歳なのに17歳を慰めてるんだろう…これじゃあ精神的に老けちゃうよ…
「ねぇ…。は…そんなに俺が嫌い?」
「言ってないよね?学校サボってまで来て欲しくないの。嬉しくないもん。目立つし」
むーちゃんがみんなのお母さん達と混ざっていたら違和感凄いと思う。
ママさん達に笑顔を振りまくむーちゃんを見るって、それはそれで妹として結構複雑な気分になるし。
それには【北城睦実の妹】って見られるし…
むーちゃんがいると【北城】は消えちゃうんだよ?
は、それが一番、寂しいの。
むーちゃん困るだけだから、言えないけどね。
「変装して行くから…」
「の話聞いてたかな?」
大前提の『サボるな』っていうところが、完全に抜けてる。
てか…ちょっ…
今日はギューが苦しいよむーちゃん。、中身出るっ…
「そんじゃ俺様が代わりに見に行ってやろーかぁ?」
「え。クルルなんて標本にされて理科室行きだよ?」
こんなに珍しい黄色い蛙だもん。
「アンチバリア張ってくに決まってんだろうが。睦実ぃ、き〜っちり撮影してきてやるぜぇ?ククーっ」
「俺も生で見たいの!行きたい!の成長が見たいの!」
成長って…適当に座ってるだけなんだけどなぁ?手ぇ挙げないし。
それよりむーちゃんが何でこんなに悔しがるかが分かんないです。
「!俺もアンチバリア張ってくから見えないし行くからね?」
「でもには見えるんだから、やっぱり来たら怒るよ?」
「一時間だけじゃん!絶対学校戻るから!!」
凄く食い下がるなぁ。
そんなに言われてもどうしたら…。
それにしても。
「そもそも、むーちゃんが【行く宣言】せずに黙って来たら、分かんなかったよ?」
アンチバリア付けてクルルの持ってるフライングソーサーに乗って。
外から隠れて見てたら分かんなかったよ?
むーちゃんにしては随分程度が浅い作戦というか何というか…
「……。ちゃんと、行きたかったから」
「え?」
「別にクルルに頼むのも考えたけど。やっぱりに黙って覗き見とか嫌だから。俺はの兄として行きたいんだから」
「…………」
むーちゃん、拗ね方も変になってきたなぁ。
何言われてるのか、全っ然分かんなくなってきた。
最近たまに短い詩を書いたりするけど、浅いか薄いか当たり前な変な文が多いし。
やっぱりむーちゃんって一般向けじゃないよね。イラストもたまに分かんないし。
「むーちゃん、分かりにくいから分かりやすく言って?」
前にテレビで納得した言葉。
【難しい事を難しいままで話す人は実はバカ。難しい事を子供でも分かる説明が出来る人が本当に賢い人】って。
むーちゃん、から見たら今はバカの部類にいるよ。
チューニビョウ?って言うんだっけ?
「クック、睦実は【家族として心配だ】っつってんだよ」
「へ?」
「そんだけの話だろーがよぉ?違うか?」
「…むーちゃんそうなの?」
ハグ状態のむーちゃんの頭が頷いた。
「睦実ぃ、お前の言い方もまどろっこしいがの受信器官がおかしいのも考えて喋んな」
「の事、心配してくれてたの?」
「うん…。学校でがどんな生活してるか、知りたいから」
何で知りたいんだろう?
はむーちゃんの学校生活なんて全く知りたいとは思わないけど。
興味ないし。
「変な事気にするね?」
「、お前はもうちょい睦実に優しくしろ。余計に落ち込んでんぜぇ?」
「あたしのせいなの?」
「…を心配しちゃいけない?」
「んーん?それはすっごく嬉しい」
でも話は別。
って言おうとしたらクルルに叩かれた。
意外と痛いよ!?
「いーからはガキらしくもっと睦実に甘えやがれ!ったく面倒臭ぇ兄妹だなテメーら」
「……。むーちゃん?」
ポンポンと肩を叩いたら、ようやく離れてくれた。
やっぱり拗ねてる。あれ?照れてる?
「お前等その意思の疎通の低さで良く今まで普通に生活出来たな…。睦実もデレ方考えろ」
「分かってる…」
「デレ?」
「んーでぇも。睦実が来たら面倒臭ぇだろうがたまには行かせてやれ。心配なんだとよ」
クルルの言うことホントかな?
そんなに、心配させてたのかな?
「…。じゃあ今度の授業参観、来る?」
何を心配されてるのか良く分かりませんが。
今日はクルルもむーちゃんの味方なので、拒否し続けるといつまでも拗ねっぱなしみたいだから。
「ちゃんとアンチバリア張って来てね?」
「ん。ありがと…絶対行くから」
一時間のサボりは大目に見ます。
その代わり、約束通りちゃんと学校には戻ってね?
何だか根負けした気がしてならないですが。
むーちゃんの機嫌も治ったし、クルルも元凶だけどなんか中和剤的な感じだったので。
カレーは決行です。お腹空いたし、カレーは直ぐに出来るし。
「むーちゃんって結婚して子供出来たら絶対溺愛するタイプだよね」
「あぁ?」
クルルはカレーの時だけは一緒にキッチンにいてくれる。
ただ、『いるだけ』で相当邪魔だから食器棚の方に座って貰ってるけど。
「今のは未来のむーちゃんの子供と同じ扱いな気がする」
「ククッ、睦実が結婚するかぁ?」
「むーちゃんモテるよ?いつかはしてくれなきゃが困る」
「お前が嫁に行くまで無ぇだろうよ。まぁ彼氏が出来ただけでも睦実は大反対だろけどな」
「それで婚期が遅れたらヤダなーな気分…」
「その歳で婚期の心配してんじゃねぇよ。その前に彼氏作って来い。そらよっと」
「あっ?!」
いきなり鍋の中にクルルが粉を入れてきた。
真っ赤だしこの強烈に目に染みるっ!!
「コレ何!?七味や一味って言ったら本気で怒るよ!?」
「甘ぇな。ハバネロの粉末だ」
「何で入れちゃうの!?食べれないよこんな辛いの!!」
「ククーッ、お前の甘口カレーに飽きた。刺激がいるんだよ」
「じゃあ自分のお皿にだけ入れてよ!」
結局その後も味噌や納豆や豆板醤にXオージャンまで入れられて。
変な味のカレーが出来て酷い目に会いました。もう、辛くて何にも味分かんない!!
でもクルルは平気そうだった…。舌、大丈夫なのかな。
あ、ちなみに。
ご飯が終わってからはのターンなので。
きっちり二人にお説教ナイトはしました。
変なお兄ちゃんと変な味覚の蛙と一緒に。
は毎日頑張ってます!!
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ひたすら駄々っ子17歳(笑)