件名:なっちゃんへ。

内容:人生のお姉さんとして相談に乗ってください!(><)


「そんな事言われるほど私も人生は長く生きてないんだけどなぁ…」


思わず苦笑い。


でも可愛いちゃんからのお願いだしね。






●何とかお姉ちゃんになれないかなぁ?●








今日は日曜日。



「ねーちゃん、朝から何ニヤけてるの?」
「ん?今日は可愛いお姫様とデートだから」

てか、そんなにニヤけてたなら相当恥ずかしいんだけど…

昨日の夜、ちゃんから来た一通のメール。
電話じゃ駄目なの?って返信したら
『女の子の話だから直接したい』って返ってきた。
どんな話を相談されるのか、ある意味楽しみでもあるのよね。

「もしかしなくてもちゃん?」
「冬樹大当たり。じゃあ私行ってくるから、
ボケガエル達宜しく!」
















いつもの待ち合わせの公園に行けば、小さな女の子がちょこんと椅子に座ってる。
大きなつばの帽子に可愛いワンピースにウサギちゃんのバック。
ふわふわにウェーブの掛かった長い髪に真っ黒で大きな瞳。
どう見ても綺麗な西洋人形。
女の私から見ても
可愛い過ぎますよマジで。何処のキッズモデル?って感じ。


「おはようちゃん!待たせちゃったかな?」

この子は一人にさせたら
ロリ誘拐されると思うから、いつも怖くて早めに行くけど。
絶対ちゃんの方が早いのよね。



「なっちゃんおはよう!全然待ってないよ♪」

椅子から立ち上がってこのニパっ☆と笑顔。
眩しいっ!!
私が【デビルサマー】と呼ばれていた小学生時代とは完全に別次元の子。
取り合えず無条件で抱き締めたくなる子って、この世に本当にいるなんて思わなかったわ。


「どれだけ早く来ても絶対ちゃん早いんだもんなぁ」
「あたしからお呼び出ししたのになっちゃんを待たせるなんて出来ないよ!」
「礼儀正しい子。流石はちゃん」

取り合えずよしよしをさせて貰います。その笑顔をされると無性にしたくなるから。
撫でるとちゃんも照れてふにゃ
って笑うから可愛くて仕方ない。

「今日はウチに来る?」
「お邪魔してもいいなら…。あ、クッキー焼いたの!良かったら!」
「なら尚更ウチが良いわね。行こっか?」
「うん


さて、こうして仲良く手を繋いで我が家に天使のお持ち帰り決定。
















ちゃんと私は結構変わった出会い方をした方だと思う。


まだ私も小学生だったかな。場所はスーパー。買い物当番の時。
勿論スーパーにランドセル装備なんて
目立つ以外の何者でも無くて。
しかもちゃんは今よりもっと背が低かった。話し掛けたりはしなかったけど気にはしてた。冬樹もそう。

小さいながらに見事なカートテクを見せて誰にもぶつからない凄い子だと思ってたある日。
偶然ちゃんの後ろで会計を待ってたら…
まぁ、いつかは起こるだろうと思ってたんだけど。
身長とその日の荷物のせいか、カートからレジにかごを移動させられなかった。
スーパーじゃちゃんの存在は有名(にもなるよ勝手に)だからレジのオバサンも手伝おうとするんだけど。

『大丈夫です!お気遣いありがとうございます!』で拒否ってうーん!って頑張って

……たのはいいけど、レジも混むから私が勝手に手助けして。(結構重かったわよ)
その日にすっごく御礼されて、取り合えず同じ学校って事と住所やケー番を交換した後。


後日。
一人で菓子折り持ってお礼に来た。
まさかあの時8歳だとは思いもしない礼儀正しさにこっちが混乱したっけ…

 



ちゃんってもう10歳かぁ…」
「うん。来年はぞろ目の縁起物!どうしたのなっちゃん?」
「なんか、成長したなぁって思っちゃった」

見た目はあまり変化が無いけど。上から見てると睫毛も長いなぁ。
身長…ちゃんと伸びてるよね?ちゃん?大丈夫?

「なっちゃんなんて中学生だよ!?凄く大人!」
「私も小学生の時はそう思ってたけど、案外なってみると全然大人じゃないの。全然子供」
「そうなの?でも制服とか憧れるなぁ」
「絶対可愛い制服の学校選んだほうがいいよ?ウチ、地味だし」
「む〜、でもあたし別に頭良くないからどうせ吉祥学園に入る事になるし」

まぁちゃんならどんな地味な制服でも着こなせると思うけど。
個人的に是非とも可愛い制服を着て欲しい訳ですよ。


「それに制服って毎朝洋服選ばなくていいから楽チンだよ」


出た。
ちゃんがちゃん足らしめる発言。

正直ちゃんの発言は
ほぼ主婦と言っても間違いじゃないと思う。
小さい頃から家事も全部やってるみたいで料理の話とか凄く合う。
幼いながらに私たちの会話は主婦友状態。家事の裏業を良く知ってる。
だからこそ、昨日みたいなメールが来ると『やっぱり子供だよね』と
何故か安心しちゃう。
そして何より

「むーちゃんも制服で羨ましいんだぁ。でもカッターのアイロン面倒だけど…」


私の大好きな睦実さんの妹さんな訳で!!
この事実はちゃん自身が隠してるから気付くのに時間掛かったけど。


神様は天使を私に与えてくれたとしか思えなかった!!
お兄さんは格好よくて妹さんは可愛くて!!
二度美味しいとはまさにこう言う事よね!!

























「はい到着〜。さ、上がって上がって」
「あ、ちゃんこんにちは」
「お邪魔します。ふーくんこんにちは!」

冬樹の事は『ふーくん』。

年下だけど、女子が苦手な冬樹が可愛がる女の子って今のところちゃんだけ。
勿論恋愛対象外で…だと思う。
まぁ学校も一緒だし、冬樹が買い物当番の時はたまに一緒に行くみたい。


…ちょっと冬樹が羨ましいのは内緒。


「今日は髪の毛フワフワだね?いつもストレートなのに」
「…お出かけするって言ったら…
むーちゃんに遊ばれたの…」

はお人形じゃないのにぃ!
と怒るけど、睦実さんの気持ちはすっごく分かる。
冬樹経由の話だけど、ちゃんは髪が長くなってから良く髪を弄られるらしい。
長くて邪魔だから切りたいって言っても完全拒否だとか。
うん、確かに勿体無い。私も切らないで欲しいしなぁ。

「良く似合うよ?お人形さんみたい」
「でもこれのせいで待ち合わせに遅れそうになったの。むーちゃんあたしの時間配分とか何も考えてくれないし!」
「むしろちゃんは待ち合わせに早すぎよ。ちょっと位遅れてきても大丈夫なんだから」

さてさて。
いつまでも玄関にいても仕方ないし、さっさとリビングに行きましょう。

「ほらちゃん中で話そう?あ、冬樹」
「なに?」


 
 「ボケガエル達は何とかしなさいよ」
  「勿論。軍曹達に会わせたく無いし」



腹黒い笑顔の弟よ。
そっちは任せたわよ。



「あ、そう言えばクッキー焼いてくれたのよね?早速お茶請けにしてもいいかしら?」
「うん、食べて食べて♪ふーくんも良かったら!」
「僕もいいの?有り難う」
「上手に焼けたんだよ
今日もなっちゃんとふーくんに「美味しい」って言って貰うのが目標です!!」
ちゃんのお菓子はいつも美味しいよ。じゃあ僕上で食べるからちょっと貰ってくね?」
「後で正直な感想頂戴ね?不味かったら正直にね??」
「了解しました」

こうして冬樹はボケガエル達を粛清しに二階へ上がった。
今日の冬樹は本気だわ。色んな意味で。
全く、ちゃんが絡むとなんて頼もしい弟だろう。


「さてと。何飲む?」
「なっちゃんブレンドの紅茶!いつも楽しみなの♪」
「毎回飽きない?」

ちゃんがウチに来ると必ずこのオーダー。
あんまり美味しいって言ってくれるからちゃんと分量レシピも渡してあるんだけど…。

「なっちゃんが淹れてくれるのが美味しいの
自分で淹れるよりずーっと美味しいから!」

可愛い笑顔で嬉しい事言ってくれるわホント。
ちゃんのおかげで
『萌え』の意味とか理解しちゃったし。

「あ、こないだのマフィン。ママもすっごく美味しかったって」
「ホントに!?やったぁ♪」

嘘やお世辞抜きでちゃんの料理スキルは半端じゃない。
大人が作ったって言っても疑いなく美味しいし。
ただし本人曰く『作りがいの無い兄でイヤ』だとか何とか…














「さて、準備万端。女の子の相談ってどうしたの?」

ソファにてトーク用ティーセット完了。
うん、このクッキーは…また腕が上がってる!?
なんて末恐ろしい子

「あのね、久し振りだからいっぱいあるの。聞きたい事いっぱい!」
「今日は時間もたっぷりあるし、いくらでも聞くわよ?」

その為に時間作ったんだから。
夏美おねーさんで分かる範囲ならいくらでも。

「あのね!あのね!」

何から話して良いのか、なにやらあうあうと可愛い動きを繰り返すちゃん。
珍しいわね?いつもテキパキ話すのに。

「睦実さんには話せなかったの?」
「むーちゃんになんか聞きたくも無いかな…」

睦実さん…
相変わらずちゃんの中で
アナタの存在が低いです。


「あのね、あのっ…変だと、思わないでね?」
「勿論。ちゃんと聞くし、分かる範囲なら答えるわよ」

オロオロするちゃんも可愛いなぁ。
妹が出来るなら絶対こう言う子がいい。
睦実さんが羨ましいです。てゆーか私、
日向家出てこの兄妹の間に入りたい…。


「…なっちゃんは…」
「なぁに?」
「いつぐらいから、ブラジャー付けた?」


  うん、確かに睦実さんには聞けないね。


「もうね、の周りの子もスポーツブラ付けてたりするの。何かタイミング的なものなの?」
ちゃんは…そのぉ…」
「うん、まだペタンコなのは自分で分かってる。見栄張って付けるのもどうなのかなって」
「でも付けたい?」
「着替えの時、なんか必要の無い劣等感を感じるから…」

これは確かにガールズトークだわ。
冬樹にも引っ込んで貰って正解。

「私の場合はね?」



  こうして一頻り、男子禁制なトークをした後。(中身は秘密よ)




「はぁ。なっちゃんありがとう!誰にも聞けないからスッキリしたよ!」
「この位ならいつでも聞くわよ。電話でも良かったんじゃない?」
「でも最近なっちゃんと直接ゆっくりお話出来なかったから…もし忙しかったならごめんね?コレだけの事だったし…」

照れるちゃん。
もぉー!この可愛い子どうにかして!!

「あ、まだ聞きたいの!なっちゃんのビーフシチュー!!」
「あれがどうかした?」
「何回やってもなっちゃんみたいに美味しくならないの。レシピ通りにやってるつもりなんだけど、なんか美味しくないの」


そう言うと可愛いウサちゃんバックには
全く似つかわしくないビーフシチュー入りタッパ。
そんなのを入れて、持ち歩いてたのね…

「昨日も作ってみたから一応持ってきたけど、チンしたら更に不味くなるかな…」
ちゃんが作って不味くは無いと思うわよ?私も特に何かしてる訳でも無いし」

取り合えずチンして味見しますか。
別に隠し味とか無く、普通に作ってるだけだけどなぁ?


「ねぇ、なっちゃん」
「なぁに?」
はなっちゃんの恋を応援してるからね!」

え、突然ソコに話飛ぶんだ
ちゃん、何で?


「頑張ってね!むーちゃん鈍感だし中々会うタイミングも無いけど。
絶対なっちゃん、上手く行く!!」

すんごい目が
キラッキラしてるよちゃん…
私が睦実さんファンだと知ってから、何故だか
異常なまでに私と睦実さんを恋人にしたがるちゃん。
『パソコンとガンプラが恋人なむーちゃんを正常に戻して!』と、ちゃんなりに睦実さんを心配しているようで。
つまりはリア充になってと言う事、かな?ちゃん、リア充の意味知ってるかな…。
ファンと恋人って違うよ?と、言ってもちょっと難しいみたいで分からないみたい。

そ、そりゃなれたら…嬉しいわよ!?
でも流石に実の妹さんから応援されるのは有り難いけど恥ずかしい。



「今日も新しい写メあるからね?今回はお風呂上がり!!」
「え!絶対欲しい!!」
「勿論!なっちゃんには沢山お世話になってるから、むーちゃんの事くらい全部喋るよ♪」
「だからちゃん大好き!!」

あらゆる意味で大好き!!

「最近の睦実さん情報とか…何かある?」
「んー、ネタになる話はぁ」

こうしてある意味睦実さんを
全く何とも思っていない扱いをしているのがヒシヒシと伝わる情報をいつも貰ってる。
でも流石はちゃん。
やっぱり睦実さんが芸能人なのは弁えてるから、上手に隠しながら喋るのよねぇ。
それがまた楽しいんだけどっ!!


「はぁ、今回も満たされたぁ♪この写メは絶対保存しなきゃ!」
「ご満足頂けて光栄です


お風呂上りで上半身裸。水も滴るいい男の不意打ちなショット。
正直ちょっとエロい。直ぐにパソコンにも保存しなきゃ!
希望を言えば出来る限りその通りの写メや写真を撮ってきてくれるちゃんって凄いと思う。
『ヌードでエロめで!』って冗談で言った時も「分かった!」と、実行する気満々だった時は
止めたけどね。
でもこんな写メを撮られて、睦実さんは何とも無いのかとちょっと思っちゃったりもする。


「そう言えば。私の話もいいけど、ちゃんは恋バナ無いの?好きな人とか」
「うー…作る暇も時間も無いの。むーちゃんがもっと家事してくれたら時間も出来ると思うけど」
「あぁ、家事で精一杯って事かぁ。そう言えば初恋は?」

と、聴いた瞬間、見たこと無いほどちゃんの表情が曇った。
まさか地雷ですか!?ちょっとヤバイ!?

「まだなの。…ねぇなっちゃん、やっぱり遅いよね?、10歳で初恋もしてないなんて恥ずかしいよ…」
「いや、恥ずかしくは無いと思うけど…」
「絶対の人生において、むーちゃんが早くお婿さんに行かないと恋出来ないの。
邪魔だと思う」
「えー、ソコまで言う…」
「だってが生まれた時にはむーちゃん既に7歳だよ?この歳の差がの恋を遠ざけてるとしか思えないの!!」


こうしてちゃんの中で睦実さんの評価は
相変わらず低い位置で平行線で。
それでも楽しく喋ってたら。

 


バタン!!


「夏美殿おおぉお!!この手作り激うまクッキーはどなたのでありますかぁぁああ!!??」


まさに空気が止まっ…

 

「わぁ、凄い音したね?」

 

らなかった。

うん、リアクションが薄い子で助かった。

 


てゆーかボケガエルがぁあああ!!!
ちゃん見えてないから超ビックリしてんじゃないの!!キョトンとしちゃってるし!!
冬樹はどうしたの!?今日は手を抜くなんて思えない!!
てゆーか私は何て言ってこの場を回避すればいいのよ!?

「…なっちゃん…」
「え!?あ、ははっ!ごめんねビックリしたよね!ちょっと扉の立て付け悪くて!!」


ちゃんの視線の先にしっかりボケガエルが…
え、超見てる?ガン見?てか見えてるの??
ボケガエルもちゃんの視線に固まってるし。

「…緑なら、食べれるよね…」
「えっ?」
「んーん、何でもない。凄い勢いで開いたからまだドキドキしてる」


視線がこっちに戻ってニパ☆っと笑顔のちゃん。
き、切り抜けた…?


「ホントにごめんね?
驚かせちゃってぇ!!」
「ゲロォォオオオオオー!!!!」

 

取り合えず部屋から蹴り出して!!

後で締め上げるボケガエルが!!!

 


「『立て付けが悪いなら』仕方無いよ。なっちゃん宅は一軒家だし」
「ははっ、もうホントに!古いしちゃんのマンションが羨ましいわ!!」
「でも庭が無くてベランダだから寂しいよ?何故かそこからむーちゃん帰ってくるし」
「そ、そうなんだぁ…。あ、チンしたシチュー食べてみるね?!」


動揺するな日向夏美!!
落ち着け!ちゃんはスルーしたんだか何だか知らないけど突っ込まないんだから!!
いつも通りに振舞うんだ!!


「…なっちゃん大丈夫?やっぱり、美味しくないよね…」
「そんな事無いよぉ!一日置いた分、シチュー美味しくなってるよ?!」
「ホントに?でも納得出来ない味なの…。あ!今度なっちゃんウチに来てシチュー作って!!」
「はい!?」
「なっちゃんのエプロン姿見たらむーちゃんもイチコロだよ


い、イチコロって久し振りに聞いたわその言葉…。
流石にソレはそれはもう死語だよ。

「可愛いなっちゃんが、可愛いエプロンつけて、美味しいビーフシチュー作るの!で、むーちゃんはなっちゃんに惚れる!完璧!!」
「ちょっ、そんな簡単にっ!」
はそれを見守ってるの
あ、良かったら子供役もやるよ?」
ちゃん落ち着いてってば!!」
「なっちゃんがママなら嬉しいよ?」



クリンとした目でそんな事言われちゃったら…


「っ〜!!!!もう!大好き超可愛い!!!」


小さな可愛い天使ちゃんは。
基本主婦思考でたまに爆弾を落下させますが。


絶対妹作るならこの子がいい!
欲しい!!






(あ、でもそうなると、ってむーちゃんも『パパ』って呼ばなきゃいけなくなるから…無いしホントにそれだけは)
(じゃあ…『むーちゃん』のままでもいいんじゃない?)
(あ、分かった!
二人が速攻離婚して親権をなっちゃんが持ってくれたら全部収まる♪)
(私の睦実さんとの新婚生活は!?)





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日向家にも愛されるちゃん。 みんなのエンジェルです。